<絵本town特集>高楼方子さんのデビュー作
2014/7/8 火曜日 特集・あの作家さんのデビュー作!高楼方子さん
たかどの・ほうこ
●デビュー作の思い出
本にしてもらえる当ては全くないまま、ただただ孤独に書きつづけ (こんなこと書いちゃっていいのかな、とか、くどくどしい駄作なんじゃないかとか、結局徒労に終わるのではないか、 とか、しばしば過る不安と戦いつつ)ついに書き終えたあと、原稿用紙に清書するために、「出版されたら元は取れる!えいっ」 と高価な万年筆を買い、520枚ほどを、ちくちくきれいに手で書いたことを思い出します(この間も、しばしば過る同じ不安と戦いつつ)。 そしてようやくF社に持ち込んだところ、 案の定、いかにダメかの説明。ああやっぱり……と、しょんぼりしていると、 一人、気に入って下さっていた編集の方が、「リブリオ出版の田中さんなら、気に入ってくれるはず」」と、当時編集部長だった田中庸友さんを紹介してくださり、そのとおりになったのです。それはもううれしかったけれど、思えばやはり妙な作品なのです。でも今も流通しているので、不思議です。
●作家をめざすひとへのメッセージ
作家というのは、人に気を使うこともそうそうなく、出勤の辛さもなく、自分が好き勝手に書いたものを本という形にしてもらい、売ってもらい、いろんな人に読んでもらい、ときには「面白かった!」なんて言ってもらえる、自由で贅沢でやりがいのある仕事だと思います。ある種の苦労(書き直すとか行き詰まるとか叩かれるとか将来の不安とか……) はそれと引き換えです。「照る日曇る日いろいろだ」と、へこまずにがんばることですね!
『つんつくせんせいとまほうのじゅうたん』
フレーベル館/刊