■寮美千子さんが話してくださったこと。

クレヨンハウス出版の新刊, 絵本作家さん, イベント No Comments

21日(土)の「子どもの本の学校」のご報告、遅くなってしまいました!

今回は、小説、絵本……さまざまな作品を手がけられている、
作家・寮美千子さんにお越しいただきました。
テーマは、「詩が開いた心の扉 『空が青いから白をえらんだのです
奈良少年刑務所詩集』」。

お話は、奈良少年刑務所の更正教育の一環、社会性涵養プログラムにて、
詩と物語の授業をすることとなったきっかけからはじまりました。
奈良少年刑務所の建物に魅了され、訪れたその1年後、
受刑者である少年たちとの授業がはじまります。

どんなに「凶暴で悪いひと」たちがそこにいるのか……そして
どんな授業をしたらよいのか……と、あれこれ考えながら臨んだ授業。
詩を声に出して読み、歌い、物語の登場人物を演じ、詩を書く。
それが驚くほどに、少年たちのこころの扉を開いていったことを、
熱く語ってくださいました。

詩集の中の詩をいくつか読んでくださり、その詩の作者について、
そして、その詩を授業で発表したときのエピソードについて、
お話をしてくださったときは、会場の誰もが、
胸の奥からぐっと、込み上げてくるものがあったと思います。

詩との出会い、物語との出会い、そして、何よりも、寮さんと彼らの
出会いがもたらした変化。
出会いがもつ、力のすごさを感じました。

「彼らは、かならず変われます。そして、罪を償った彼らを受け入れる、
ひとと社会が必要なのです」
最後に、強くやさしい眼差しで、わたしたちに語りかけてくださいました。

空が青いから白をえらんだのです  奈良少年刑務所詩集
受刑者/詩
寮美千子/編
長崎出版/刊
1,575円(税込)

ぜひ、たくさんの方に手に取って読んでいただきたい一冊です。

■何ごともないって、かけがえないんですね。

英語絵本 No Comments

「子どもの本の定期便」ブッククラブ・絵本の本棚から
英語絵本「P2コース」の8月の本を紹介します。

★『おやすみなさいおつきさま』の作者が語る、農場ののんびりした一日★
◇『Big Red Barn
Margaret Wise Brown/文
Felicia Bond/絵
HarperCollins/刊
1,890円(税込)翻訳版:『おおきなあかいなや』
えくにかおり/訳
偕成社/刊
(品切れ・重版未定)

世界中で愛されている『Goodnight Moon』、
その著者M.W.ブラウンが、前書と同じ年頃の読者を念頭に書いたロングセラーです。
絵は、やはり人気の高い『If You Give a Mouse a Cookie』のフェリシア・ボンド。

広々とした農場の真ん中に建つ赤い納屋。
青く澄んだ空と、緑豊かな牧草地に、納屋の赤い色が映えてとてもきれいです。

納屋のそばでは、きょうもちいさないのちが誕生し、
動物たちが親子でたわむれ、のどかに一日が過ぎていきます。

登場するのは動物だけ。
どの動物もひとこともしゃべったりはしません。ただ鳴き声が描写されているだけです。
それなのに、いきいきとした満足そうなようすが伝わってくるのは、
フェリシア・ボンドの画力によるのでしょうか。

何か事件が起きるわけでもなく、のんびりとした農場の一日がたんたんと描かれているだけの本書。
何ごともない平穏な日常が、かけがえのないものだということをあらためて感じさせてくれる一冊です。

■赤いワゴンとピンクの冷蔵庫

英語絵本 No Comments

「子どもの本の定期便」ブッククラブ・絵本の本棚から
8月の英語絵本「P1コース」と「P3コース」のご紹介です。

まずは「P1コース」。

★真新しい真っ赤なワゴンに乗れば、
買いものが冒険に早変わり★
◆『Red Wagon
Renata Liwska/作
Philomel Books/刊
1,785円(税込)

『The Quiet Book』のイラストで一躍人気者になった、
ポーランド出身のイラストレーターが、文にも挑んだ第1作目。

おつかいをたのまれた子ギツネのルーシーは、
お気に入りの赤いワゴンを引いてマーケットへ出かけます。
ちょっとしたおつかいでも、ちいさなルーシーにとっては大冒険。
マーケットまでの道のりが、たのしい冒険の旅へと早変わりします。
小船や汽車など、すてきに変身した赤いワゴンで目的地を目指します。

登場する動物たちの仕草や表情が愛らしく、
ページをめくるたびに頬がゆるんでしまいます。
自由な発想で想像をふくらませる「ごっこあそび」のおもしろさが、
たっぷりと味わえるのも本書の魅力のひとつ。

そして「P3コース」。

★不思議なピンクの冷蔵庫がひとりの人生を変える★
The Pink Refrigerator
Tim Egan/作
Houghton Mifflin
Harcourt/刊
1,680円(税込)

翻訳版:『ピンクのれいぞうこ』
まえざわあきえ/訳
ひさかたチャイルド/刊
1,470円(税込)

リサイクル店を営むドッズワースのモットーは、
「できるだけ何もしないこと」。
はたから見たら、単調な毎日を過ごしているのですが、
当の本人は大満足。

ところがある日、買い付けに行った廃品集積所で、
古びたピンク色の冷蔵庫を見つけます。
その扉には「Make Pictures」と書かれたちいさな貼紙と、
扉を開けると中には画材が。
それを商品として持ち帰り陳列するものの、
結局、売らずに自分で使って絵を描きはじめます。

翌朝、再び冷蔵庫の前へ戻ってみると、
今度は「Read More」と書かれた貼紙と本が……。

人生の示唆に富んだ本書は、
毎日の生活に変化をもたらすきっかけにも。
何かをはじめたい、自分を変えたいと思う方は、
まずはぜひ本書を「Read More」!

■長野ヒデ子さん原画展は15日まで!

絵本作家さん, イベント No Comments

こんにちは。子どもの本売場の大井です。
立秋を過ぎましたが、まだまだ暑いですね!
あつ~い夏休みに涼しくなりそうな展示のご案内を。

子どもの本売場では、長野ヒデ子さんの新刊絵本、
『おばけのチョウちゃん』の原画展を開催中です(~15日まで)。

おばけのチョウちゃん

おばけのチョウちゃん
長野ヒデ子/文・絵
大日本図書/刊
1,470円(税込)

長野さんの描いた、こわくてかわいいおばけたち。
おばけにも夏休み(学校も!)があるんですって!
ちょうちんおばけのチョウちゃんは、
家族みんなでおじいちゃんのところへあそびに行きました。
すると……。

おばけの世界の「夏休み」をのぞきに、
あそびにいらしてください。