<絵本town特集>いわむらかずおさんのデビュー作

特集・あの作家さんのデビュー作!

いわむらかずおさん
いわむら・かずお


ぷくぷくのえほん1
あふりかのぷくぷく
ぷくぷくのえほん2『まーくんとぷくぷく』
ぷくぷくのえほん3『しっぱいしっぱいぷくぷく 』

「ぷくぷくのえほん」全3作/1970年/実業の日本社 → 1980~1982年/偕成社

●デビュー作の思い出
ダミーを持って売り込みに出かけ、採用された絵本です。
「うちで出しましょう」と編集長に言われ帰る銀座から有楽町駅への道々は、うれしさで体がふわふわ浮いているようでした。しかし、「一冊だけでは弱いので、あと2冊書いてください」と、さっそくプロとしての試練を与えられたのでした。
今なら決してやりませんが、それからわずか4ヶ月で全三冊の原画を仕上げました。
そのシリーズは、残念ながら数年で書店から姿を消し、絶版になりました。
いま思えば、絵本としての魅力はありましたが、練りがたらず、全体的にはまだ力不足だったと思います。
1970年といえば、絵も文もひとりでかく絵本作家はまだ少なく、新人は注目されました。
『ぷくぷく』は売れなくても、仕事の依頼がたくさん来るようになりました。
当時、画家への印税による支払いはまれで、私も「買い取り(著作権法を理解していないひどい言い方です)にしますか、印税にしますか」などと言われたものです。そんなとき、「童美連」(日本児童出版美術家連盟)という、こどもの本の絵を描く画家の著作権を守る団体があり、先輩たちが画家にも印税をという運動をやっているのを知り、さっそく入会しました。
原稿料払いで差し当たってすぐお金が入るのは魅力でしたが、自分の仕事と将来にかけるという気持ちで、私は各社に印税による支払いを求めました。
やがて画家への印税は当たり前のことになりました。印税の制度が、栃木県の田舎町に移り住み、創作活動をつづけることを可能にしたのです。

作家を目指す方々への応援メッセージ
絵本作家として暮らしを立てていくのは大変ですが、ロングセラーの絵本を持つかどうかがその分かれ目です。
作者の心がこもらない安易に作られた絵本は、一時売れたとしても、こどもたちから支持されず、決してロングセラーになることはないでしょう。
自分の納得がいくまでしっかり時間をかけて、こどもたちが心から楽しむことが出来る上質な絵本を作ることが、やがて自分に返ってくるのです。
30年40年前に書いた絵本が、国内や海外で多くのこどもたちに読み継がれ、今も生きつづけているのは、絵本作家としての私の大きな喜びです。

いわむらかずおさんのページ
いわむらかずお絵本の丘美術館 http://ehonnooka.com/

●いわむらかずおさんの最新刊


14ひきのポケットえほん かぼちゃセット
童心社/刊

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