パパがみせてくれたものとは……?
2008/5/21 水曜日 絵本つれづれ大阪店でも、「パパ、えほんよんで!」コーナーをつくりました。
パパの声が似合う絵本、パパが活躍する絵本……
いろいろ考えながらつくっています。
さて、なかでもわたしのお気に入りは、やっぱりコレ!
『パパが宇宙をみせてくれた』です。
『パパが宇宙をみせてくれた』 ウルフ・スタルク/作 エヴァ・エリクソン/絵 ひしきあきらこ/訳 BL出版/刊 1,260円(税込) |
ある冬の日の夕方、パパが息子のウルフに
「いまから宇宙をみせにいってあげよう」と声をかけ、ふたりで出かけます。
しっかり手をつないで、ぶらぶらとウィンドーショッピングをしながらたどり着いたのは、見慣れた原っぱ。
「これが宇宙?」
ちょっぴりがっかりするウルフに、空を見上げるように声をかけるパパ。
空には満天の星。
パパは必死で星座の説明をしてくれるのですが、どれがどれだかよくわからない……
と思いつつも、がんばっているパパをがっかりさせたくないからうなずくウルフ。
さらに調子に乗ってきたパパは、
「空の上では、すべてが、きよらかで、おだやかで、きちんとしているんだ。どうだい、気持ちがおちついてくるだろ?」
そんなすてきな話をしながら、少しでもウルフを星に近づけたいから抱き上げ……と、
そこまではよかったのですが、どこからかくさい臭いがただよってきて、
ふと下を見ると犬のフンを踏んでしまっていたことに気がつくパパ。
かっこよく決まらなかったことに落ち込みますが、
ウルフは「今夜のこと一生わすれないよ」と。
ウルフの視点で書かれていて、パパのあふれんばかりの息子に伝えたい思いを、ちょっぴり冷静に、でも親の愛情をいっぱい感じながら受け止めている息子のようすが、とても自然に、ほほえましく伝わってきます。
ときどき読みたくなって、読み終わった後はいつもこころのどこかがポカポカしてきます。
「ことば」そのものが大切なのではなく、その「ことば」を伝えようとしている「気持ち」が相手のこころに届いたとき、それはきっと忘れられない記憶としてそのひとのこころのどこかに焼きつくんだろうか……そんなことをぼんやりと考えてしまいます。
スウェーデンの作家、ウルフ・スタルクの作品は、
絵本でも読み物でも、なぜかキュンとして涙がこみあげてきたり、
ちょっとしたいたずらなんかに笑いがこみあげてきたり、
「わかるわかる!」と思わずうなずいたり……とにかく読ませてくれます!!
『おじいちゃんの口笛』(ほるぷ出版)や『シロクマたちのダンス』(偕成社)なども是非ご一読を。
大阪店の「パパ、えほんよんで!」コーナーです。