さて、あなたの読み方は?

絵本つれづれ

パパと読みたい絵本
おとうさんにも読んでもらいたい絵本としてご紹介したい一冊。
なぜって!?
ふだん子どもとの絵本の時間をママにおまかせのパパでも、
この絵本を読むと、きっと絵本を声に出して読むってたのしいなー
なんて気がついてもらえそうだから。

これはのみのぴこ 『これはのみのぴこ』
谷川俊太郎/作
和田誠/絵
サンリード/刊
1,029 円(税込)

「これは のみの ぴこの すんでいる ねこの ごえもんの しっぽをふんずけた あきらくんの まんが よんでる おかあさんが おだんごを かう……」
どんどんことばがつながっていき、
最後のページはちょっと息つぎなしでは読めないほど!?

この絵本がおもしろいのは、読み手によってたのしみ方がいろいろなところ。
わたしの中にもいろんなひとのたのしい読み方がインプットされています。

以前、某女性アナウンサーさんが読まれ、思わず拍手してしまった完璧な読み方。
美しいお声と、美しい発音、最後のページはスーッと息を吸い込んだかと思ったら、
一気にラストまで。聞き惚れました!

かと思えば、こんなたのしい読み方にも出会いました。
お店の売り場で棚に向かい、
競争するように声を合わせてこの絵本を読んでいたきょうだいふたり。

どんどんヒートアップして声が大きくなるもんだから、
おとうさんが「お店の中だから静かにしなさい!」と注意すると、
読むのは止めずに、申し合わせたように声のトーンが下がった……
かと思えば、読んでいるうちに再びボリュームアップ。
その夢中に読んでいるふたりのかわいい後ろ姿に、思わず笑ってしまいました。

そして、強烈な記憶は、作者である谷川俊太郎さんが
ミニイベントでお店に来てくださったときのこと。
お客さまから「これはのみのぴこ、読んでください」
というリクエストに応えて読んでくださったあのときの読み方。
落ち着いた声でありながら、ちょっとユニークな飛ばし読み(?)をされ、
会場は笑いの渦。さすがっ!

ことばを声に出して読むって、こんなにたのしいことなんだー
と、親子で体感してください。
「子どものために、読んであげよう」なんて思っていたはずが、
必死にたのしんで読んでいる自分に気づくはず!

それから、かならず和田誠さんのユーモラスな絵もちゃんと見せて(見て)くださいね。
この絵本のおかしさをぐっと引き出してくれるので。

「きょうはいっぱい絵本をよむぞー」
というパパの「口のウォーミングアップ」にもおすすめです。