菱木晃子さん「子どもの本の学校」お聴き逃しなく!
2008/9/18 木曜日 イベント先週末は大阪店、今週末は東京店で、「子ども本の学校」が開催です。
今回の講師は、クレヨンハウスから最近出版された
『おばけのめをみて おとうとうさぎ!』を翻訳をしてくださった・菱木晃子さん。
大阪店で行われた13日(土)は、蒸し暑い気候にもかかわらず、
明るくさわやかな笑顔でいらしてくださいました。
スウェーデンの子どもたちによる本の人気投票 「BOKJURYN」で、2007年度の第1位! 『おばけのめをみて おとうとうさぎ!』 |
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『パパが宇宙をみせてくれた』 ウルフ・スタルク/作 エヴァ・エリクソン/絵 菱木晃子/訳 BL出版/刊 1,260円(税込) |
講演会までに少し時間もあり、
いろいろと作家のことや作品のことなどのお話をお聞きしていました。
ウルフ・スタルクさんの家でごちそうになったときの話、
『セーラーとペッカ』シリーズ作品との出会いの話など、
作家の素顔に驚きつつも、わたしがいちばん驚いたのは、別のことでした。
「大阪は4回目です」とおっしゃる菱木さん。
最初は万博だったそうです。
なつかしそうにその当時のことを詳しくお話してくださるのですが、
そんな幼い頃の気持ちや情景をちゃんと覚えておられ、
しかもまるでこの前の話のように、ことばできちんと説明できることに、
ことばをお仕事にされている翻訳家の一面を見た気がして、
そんなことに感動しながら、いざ会場へ。
まずは、手元にある赤いバッグの紹介。
「これは、ウルフ・スタルクさんからもらったもので、ちょっと自慢したくて持ってきました」
などと、場を和ませながら翻訳の話へ入っていきました。
スウェーデン語から日本語へ、
それからさらにそれをかみ砕いて読者に伝えることばに訳することが翻訳の仕事だとおっしゃり、
ご自身の翻訳に対する思いなどを細かく語ってくださいました。
たとえば、翻訳することばの選び方などにも細心の注意をはらわれていること。
そのことばが、いまの子どもたちにきちんとわかることばなのか、
注釈をつけることでかえってストーリーの流れを邪魔しないか、などなど。
また、その場面を頭で描きながら、
はたしてこの状況説明はこの場面でありうるのか?
この人物に見えるはずのないものが、見えているような説明がされているときや、
話の流れからつじつまが合わないと思われることなどは、
いったん作者に質問をされるそうです。
ときには、作者でさえ気がつかなかった間違えまで、
見つけてしまうこともあるのだとか。
わたしたちが翻訳された物語をあたりまえに読んでいても、
その一つひとつのことばをていねいに選びながら日本語にしていくその作業は、
相当な時間と情熱をかけてなされている作業だということが
しっかり伝わってきました。
作品のどんなことばにどんな工夫をされたか……
そんなことをいろいろお聞きしてから作品を読むと、
その作品の魅力も広がります。
東京店の講演会がもう間近。
さあ、翻訳のおもしろさを知りたい方、ぜひご参加ください!
「子どもの本の学校」
講師:菱木晃子さん
2008年9月20日(土)16:00~
クレヨンハウス東京店 レストラン[広場]にて
当日券(2,500円)は、11:00開店と同時に子どもの本売り場レジにて販売します。