その本がプレゼントに選ばれた理由は…?

絵本つれづれ

子どもの本売り場では、毎日たくさんのお客さまから選書のご相談をいただきます。
先日は、お知り合いの5歳になるお子さんに絵本を贈りたい、
というお客さまがいらっしゃいました。

いくつかご紹介したなかから、「これにします」とレジにお持ちくださったのは、
『はちうえはぼくにまかせて』。

『はちうえはぼくにまかせて』
ジーン・ジオン/作
マーガレット・ブロイ・グレアム/絵
もり ひさし/訳
ペンギン社/刊
1,260円(税込)

決め手はなんだったのかというと、
なんとプレゼントするお子さんの名前が、
この本の作者と同じ、ジオンさんというのだそうです。

自分と同じ名前が表紙に書いてあったらきっとびっくりされるでしょう。
しかもこんなにおもしろくてすてきな絵本をつくったひとなんて知ったら、
うれしいでしょうし、愛着もきっとわくのではないでしょうか。

お客さまは、驚かすために何も言わずに渡すおつもりだと、
ちょっぴりいたずらっぽく、うれしそうに話してくださいました。
まだ見ぬ5歳のジオンさんの驚きとよろこびを想像して、
わたしまでなんだかわくわくしました。

贈る相手のことを想い、あれこれ考えて、
そしてそんな時間をたのしみながら、
毎日たくさんの方が絵本を選んでいると思うと、
あらためてこの仕事のやりがいを感じます。

わたしたちが手渡す絵本1冊1冊に、
それぞれのいくつもの想いがあり、エピソードがあるのですね。

そんなことを感じながら『はちうえはぼくにまかせて』を読み返していたら、
植物が芽吹く春が待ち遠しくなりました。