■何ごともないって、かけがえないんですね。
2011/8/17 水曜日 英語絵本「子どもの本の定期便」ブッククラブ・絵本の本棚から
英語絵本「P2コース」の8月の本を紹介します。
★『おやすみなさいおつきさま』の作者が語る、農場ののんびりした一日★ |
◇『Big Red Barn』 Margaret Wise Brown/文 Felicia Bond/絵 HarperCollins/刊 1,890円(税込)翻訳版:『おおきなあかいなや』 えくにかおり/訳 偕成社/刊 (品切れ・重版未定) |
世界中で愛されている『Goodnight Moon』、
その著者M.W.ブラウンが、前書と同じ年頃の読者を念頭に書いたロングセラーです。
絵は、やはり人気の高い『If You Give a Mouse a Cookie』のフェリシア・ボンド。
広々とした農場の真ん中に建つ赤い納屋。
青く澄んだ空と、緑豊かな牧草地に、納屋の赤い色が映えてとてもきれいです。
納屋のそばでは、きょうもちいさないのちが誕生し、
動物たちが親子でたわむれ、のどかに一日が過ぎていきます。
登場するのは動物だけ。
どの動物もひとこともしゃべったりはしません。ただ鳴き声が描写されているだけです。
それなのに、いきいきとした満足そうなようすが伝わってくるのは、
フェリシア・ボンドの画力によるのでしょうか。
何か事件が起きるわけでもなく、のんびりとした農場の一日がたんたんと描かれているだけの本書。
何ごともない平穏な日常が、かけがえのないものだということをあらためて感じさせてくれる一冊です。