■やさしい夜はモノトーン

英語絵本 No Comments

こんにちは。ブッククラブの高橋です。
「子どもの本の定期便」ブッククラブ・絵本の本棚から、
英語絵本P2コースで11月にお届けする絵本をご紹介します。

★夜の世界をのぞいてみよう★

The Night World
Mordicai Gerstein/作
Little, Brown/刊
2,624円(税込)

愛猫シルビアの鳴き声で目を覚ました少年。
外に出たがるシルビアを追って部屋を出ると
あたりは一面まっ暗。
自分の家の中なのにまるで知らない場所のよう。
「もうすぐ。早く。」と、急ぐシルビアに続いて外へ出ると
夜露で湿った草と、あたたかい夜気がからだを包みます。
星明りに照らされた庭では、花は色を消して香りだけが漂い
シカの影、それからウサギらしき形も見えます。
動物たちは、「もうすぐ。」「もうすぐ。」と、ささやいています。
やがて、鳥たちが「来たよ。」と、さえずりはじめ
そこで、少年が目にしたものは……。

タイトルどおり、この絵本の大半は夜の世界。
影の濃淡で描かれたモノトーンのページが続きます。
色がないとつまらない?
そんなことはありません。
あらゆる物の輪郭がやわらかく溶け合う夜の情景は
なんだか夢を見ているような心地よさ。
どこまでも広がっていくようで、見飽きることはありません。
見ているうちに不思議と暗闇が親しいものに感じられてきます。

日一日と、夜が長くなるいまの時期、
たまには明かりをすべて落として、
夜がつくり出す世界に親しんでみてはどうでしょう。

■ひとりと1匹、おかしな画家コンビ

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こんにちは、ブッククラブの横山です。
「子どもの本の定期便」ブッククラブ・絵本の本棚から、
11月の英語絵本「P3コース」でお届けした絵本を紹介します。

◆『Remy and Lulu
Kevin Hawkes/作
Hannah E.Harrison/細密画 
Alfred A.Knopf/刊 
2,624円(税込)

★犬のルルが描くのはどんな絵画?★

ひとくちに絵画といっても、風景画や静物画、写真と見まちがうようなものから、
ひと目見ただけでは何が描いてあるのかわからないようなものまで
それぞれの魅力がありますよね。

独学で絵画を勉強した犬のルルが出会ったのは、
旅をしながら肖像画を描く画家のレミー。
「似せるのではなく、本質を描くんだ」と語る彼が描くのは
なんともワイルドな抽象画。
前衛的な作品はなかなか理解されず、毎日の食事にも困るありさまでしたが、
レミーの代わりにルルが描いた精密画が評判をよんで……。

レミーの大胆な絵画とルルの緻密な絵画。
まったくタイプの違う作品を描くふたりですが、
同じ画家としてお互いの作品を認め合う姿が
ちいさな仕草やかけることばからもひしひしと伝わってきます。
そんなレミーだからこそ、ルルの描く美しい色彩や精密なタッチに衝撃を受け
自信をなくしてしまいますが、
彼の絵がもつ魅力を思い出させるのもまたルルなのです!

アーティストらしく純粋で少し不器用なところも魅力的なレミーと
ちいさなからだでちょこちょこと筆を動かす犬のルル。
なんとも愛らしいひとりと1匹の画家コンビ、
彼らが描く作品も魅力的な一冊です。