2011/7/17 日曜日
早崎 :ブッククラブ
英語絵本
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それでは「子どもの本の定期便」ブッククラブ・絵本の本棚から
7月の英語絵本「P1コース」と「P3コース」のご紹介です。
まずは「P1コース」。※今月は2冊セットです
★『ロージーのおさんぽ』の原書、
たった30語余が描くドラマ!★
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◆『Rosie’s Walk』
Pat Hutchins/作
Simon & Schuster/刊
1,955円(税込)翻訳版:『ロージーのおさんぽ』
わたなべしげお/訳
偕成社/刊
1,050円(税込) |
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◆『Dear Zoo』
Rod Campbell/作
Simon & Schuster/刊
720円(税込)
※ボードブック翻訳版:『どうぶつえんのおじさんへ』
きたむらまさお/訳
大日本絵画/刊
1,575円(税込) |
農場を優雅に散歩するめんどりのロージー、
その背後にはロージーを狙うキツネの姿が……。
身の危険に気づかず散歩を続けるロージーと、
ことごとく失敗するドジなキツネ、
ふたりの対照的な姿が笑いを誘います。
悪者であるキツネも愛嬌があって憎めない存在です。
何度失敗しても立ち上がる姿勢は見習いたいものですが、
強運なロージーにはかなわないようです。
わずか30語余の文字量ですが、
絵がドラマチックなので想像の世界を広げてくれます。
もう一冊は、簡単なしかけが人気のボードブック。
ミニサイズなので持ち運びにも便利です。
動物園に「ペットをください」と手紙を書いたら、
大きな箱や長い箱が次々と送られてきて……。
箱のフタをめくると中身が現れるしかけがたのしく、
あかちゃんへの読み聞かせにもおすすめです。
そして、「P3コース」。
★自由な地へ、自分を箱に入れて発送した少年★
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◆『Henry’s Freedom Box』
Ellen Levine/文
Kadir Nelson/絵
Scholastic/刊
1,749円(税込)翻訳版:『ヘンリー・ブラウンの誕生日』
千葉茂樹/訳
鈴木出版/刊
1,995円(税込) |
「あそこの、風に吹き飛ばされる葉を見てごらん。
まるで奴隷の子が家族から引き離されていくようだ」
本書がそう語るような過酷な時代が、
160年ほど前のアメリカにはありました。
本書は自分を箱に入れて、
奴隷が解放されている州へ発送し、
無事に念願の自由を勝ち取った元奴隷の少年の物語です。
奴隷として扱われていたひとびとの事実を、
やさしい語り口と詩情溢れる絵がおしえてくれます。
これが事実だというのに驚かされると同時に、
人間の尊厳について深く考えさせられます。
2011/7/16 土曜日
高橋 :ブッククラブ
英語絵本
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こんにちは。
梅雨も明け、本格的な夏がやってきました。
クレヨンハウス東京店の緑のカーテンも、日々成長しています。
それでは「子どもの本の定期便」ブッククラブ・絵本の本棚から
英語絵本「P2コース」7月のご本を紹介します。
今月は2冊のお届けです。どちらもペーパーバック版なので、
旅先にも持って行きやすいのがうれしいですね。
★ほとんどのアメリカ人が知っている絵本といえば★
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『Green Eggs And Ham』
Dr.Seuss/作
Random House/刊
1,029円(税込)
※CD付きペーパーバック |
まず、一冊目は『Green Eggs And Ham』。
Dr.Seussの作品は、15ケ国以上のことばに翻訳され、
合計発行部数は2億冊を超えるといいます。なかでも、この作品は
1960年の出版以来2001年までに刊行された英語児童書のなかで
堂々のベストセラー第4位に輝いているそう。
主人公のサムが友人に緑色のハムエッグを食べないかとすすめます。
すげなく断られても、メゲることなくあの手この手ですすめるサム。
そのあまりのしつこさと、律儀に断り続ける友人とのかけ合いがおかしくて
思わず笑ってしまいます。
なんといってもいちばんの魅力は、いまにも動き出しそうな
躍動感のあるイラストと韻を踏んだくり返しの文章。
CDも付いているので、ことばの響きのおもしろさをたのしんでみてください。
★ペットはへび!?★
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『Crictor』
Tomi Ungerer/作
Harpercollins/刊
720円(税込)
※ペーパーバック翻訳版『へびのクリクター』
中野完二/訳
文化出版局/刊
1,050円(税込) |
もう一冊は、やはり絵本界の巨匠Ungererの『Crictor』です。
ボドさんは誕生日に、アフリカに住む息子からへびを1匹プレゼントされます。
最初は驚いたものの毒のないへびとわかると、
ボドさんはクリクターと名付けて大事に育てます。
賢くこころやさしいへびに育ったクリクター。
そして、ある事件をきっかけに勇敢なへびであることも証明されます。
ペットと呼ぶには、あまりにも人間に近いクリクターの生活ぶりが
おかしいやら、かわいいやら。長~いベッドにお布団をかけて寝ていたり、
冬には手編みのセーターを着て散歩したり、
カフェでボドさんと一緒にお茶したり……。
正直、へびは苦手なわたし。
でも、クリクターだけは別!!
あまりのかわいさに一度読んで以来、大好きな一冊になっています。
2011/7/15 金曜日
吉原 :編集部
絵本作家さん, イベント
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こんにちは、編集部の吉原です。
青山のスペースユイでスタートした
「本橋成一×スズキコージ展 NO MORE ATOMIC ENERGY! ゲンパツイラナイ」に行ってきました。
いま発売中の[クーヨン]8月号取材のとき、ちょうど製作中の絵を
見せていただいたので(写真にも写っていますヨ)、
はじまるのをたのしみにしていたんですが……
とてもすばらしかったです!
本橋さんが撮影したチェルノブイリのひとびとや風景を、スズキさんが大胆に刺激的にコラージュしているのですが、そこに写ったひとたちのほとんどが、その後、放射能の影響で亡くなってしまったそうです。
大きなポスターにして町中に、いや日本中に貼れたらいいのに!
わたしたちに同じことが起きようとしている、そのことを忘れず、
未来を変えていけるように。
スズキコージさんが描く「ぶたのぶたじろうさん」シリーズも、
7/4新刊が発売しました。
こちらもまた、大胆で刺激的です!
『ぶたのぶたじろうさんは、だれかにてをふりました』
内田麟太郎/文
スズキコージ/絵
クレヨンハウス/刊
998円
>ぶたじろうさんの特設サイト
2011/7/14 木曜日
若林 :東京店
絵本作家さん, イベント
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7月9日(土)、子どもの本の学校に児童文学作家の岡田淳さんをお招きしました。
小学校で図工をおしえながらたくさんの物語を書き続けてこられた岡田さん。この日のテーマは「物語が伝わるということ」。
ご自身が少年時代に読んで、こころの中に鮮やかに残った物語の風景のエピソードからはじまり、作品の中で何度も取り上げてきた「物語の伝わり方」、よく知られた昔話が実はさまざまな伝わり方をしているということなどを、流れるような運びで語ってくださいました。
途中の物語の再現もとてもおじょうずで、会場の皆さんは落語を聞いているかのように、笑ったりホロリとしたり。終わってみれば、まるで一編の物語を聞いたかのように、うっとりとしたようすでした。
こころの中に残る物語の風景について、「その風景はきっと、そのひとを励まし続けてくれるものだ」と岡田さん。そしてその思いを抱きながら紡いでこられた、いく編もの物語――。あらためて作品を読み返してみたいと感じました。
すてきなお話で会場を魔法にかけてくださった岡田淳さん、どうもありがとうございました!
この講演の内容は「クーヨン」10月号(9月3日発売)に掲載しますので、聞き逃した方はぜひ!