■日本語版にはない「HER STORY」

英語絵本 No Comments

こんにちは、ブッククラブの早崎です。

「子どもの本の定期便」ブッククラブ・絵本の本棚から
5月の英語絵本「P1コース」と「P3コース」のご紹介です。

まずは「P1コース」。

★「散歩の途中で、すごいことがあったよ!」
男の子の歓声が聞こえてきそう★
◆『I Went Walking
Sue Williams/文
Julie Vivas/絵
Houghton Mifflin Harcourt/刊
1,680円(税込)

男の子が散歩の途中、いろいろな動物と次々出会います。
ナレーターから「What did you see?」と問われるたびに、
出会った動物の色と名前を答える男の子。
そして、最後にはなんと……。

ページをめくるたびに動物たちが1匹ずつ増えて、
男の子を先頭に一列に並ぶ姿がなんとも微笑ましいです。
こんな夢のようなできごと、一度は体験してみたいですね。

文字が少ないうえくり返しが多く、絵も大きく描かれているので、
幼稚園や小学校での読み聞かせにもおすすめです。

そして「P3コース」。

★家の「目」から見た都市化の物語、
『ちいさいおうち』を原書で!★
◆『The Little House
Virginia Lee Burton/作
Houghton Mifflin Harcourt/刊
1,785円(税込)

翻訳版:『ちいさいおうち』
いしいももこ/訳
岩波書店/刊
1,680円(税込)

1942年に出版され、いまなお愛読され続ける古典的名作絵本です。

のどかな田園に建てられたちいさいおうちは、
四季の移り変わりをたのしみ、住人とともに幸せに暮らします。
しかし、月日の流れととも田園は大都市へと変貌し、
いつしか住むひともなくビルの谷間に取り残されてしまいます。

表紙の玄関ポーチに小さく描かれた「HER-STORY」というこ
とば。
一見すると見落としがちですが、
この一言に作者の思いが集約されているような気がします。
ひとびとが人生の物語を紡ぐように、ちいさいおうちも物語を紡
ぎます。
なんだか胸がジーンと熱くなりますね。

ちなみに翻訳本の表紙には「HER-STORY」がなぜか消されて
いるので、
英語絵本を手にしたひとだけのトリビアです。
ぜひ確かめてみてくださいね。

■種まきの後、待ち遠しい気持ち!

英語絵本 No Comments

こんにちは。ブッククラブの高橋です。
「子どもの本の定期便」ブッククラブ・絵本の本棚から英語絵本「P2コース」5月のご本を紹介します。

今月は、新緑の季節にぴったりな『And Then It’s Spring』をお届けします。

★茶色の大地は、いつ緑になるのか……★

◆『And Then It’s Spring
Julie Fogliano/文
Erin E. Stead/絵
Roaring Brook Press/刊
1,785円(税込)

まだ寒さの残るある日、少年は家のそばのあき地に種をまきます。
雨が降り、期待したものの、あたりは一面茶色のまま。
まだ、芽が出る気配はありません。
1週間がたち、少年は少し心配になります。
鳥が食べてしまったのかも?
それとも、クマに踏みつぶされてしまったのでは?
さらに数週間がたったある日、家の外に出てみると……。

種をまき、芽が出るまでの待ちどおしい気持ち。
わたしも経験があります。
日に何度ものぞいては、土の盛り上がりや、ちいさな緑色のきざしを確かめて
期待したり、心配したり……。

淡い色彩がとてもキレイな本書を手がけたのは、
昨年のコルデコット大賞受賞作『A Sick Day for Amos McGee』
(翻訳版『エイモスさんがかぜをひくと』)の作者エリン・E・ステッド。
本作が2作目ということなので、今後の作品にもぜひ注目したいですね。