2011/7/14 木曜日
若林 :東京店
絵本作家さん, イベント
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7月9日(土)、子どもの本の学校に児童文学作家の岡田淳さんをお招きしました。

小学校で図工をおしえながらたくさんの物語を書き続けてこられた岡田さん。この日のテーマは「物語が伝わるということ」。
ご自身が少年時代に読んで、こころの中に鮮やかに残った物語の風景のエピソードからはじまり、作品の中で何度も取り上げてきた「物語の伝わり方」、よく知られた昔話が実はさまざまな伝わり方をしているということなどを、流れるような運びで語ってくださいました。
途中の物語の再現もとてもおじょうずで、会場の皆さんは落語を聞いているかのように、笑ったりホロリとしたり。終わってみれば、まるで一編の物語を聞いたかのように、うっとりとしたようすでした。
こころの中に残る物語の風景について、「その風景はきっと、そのひとを励まし続けてくれるものだ」と岡田さん。そしてその思いを抱きながら紡いでこられた、いく編もの物語――。あらためて作品を読み返してみたいと感じました。
すてきなお話で会場を魔法にかけてくださった岡田淳さん、どうもありがとうございました!
この講演の内容は「クーヨン」10月号(9月3日発売)に掲載しますので、聞き逃した方はぜひ!
2011/6/28 火曜日
高橋 :ブッククラブ
英語絵本
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こんにちは。
「子どもの本の定期便」ブッククラブ・絵本の本棚から
英語絵本「P2コース」6月のご本を紹介します。
今月お届けするのは『Olivia』。
明るく笑って、気分をカラリと晴れやかにしましょ。
★おしゃれな子ブタの女の子、オリビア登場★
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『Olivia』Ian Falconer/作
Simon & Schuster/刊
1,365円(税込)
※ハードカバーとCDのセット翻訳版『オリビア』 谷川俊太郎/訳
あすなろ書房/刊
1,365円(税込) |
オリビアは子ブタの女の子。うたうことや、外でとびはねることが大好き。
おしゃれにも、こだわりがあります。
晴れた日は、海へ行くのがお気に入り。すばらしく立派な砂のお城をつくったりモーレツに日焼けしてみたり。
雨の日は、美術館へ。大好きなドガの絵をながめて空想にひたったりポロックの絵をまねて、家の壁にダイナミックな作品を描いたり。
とにかく、なんでも徹底的にやる彼女は、
ママをはじめ、いつも周りのひとをへとへとにさせてしまいます。
やわらかいモノクロに赤を効かせたイラストは、とてもオシャレ。
作中には、オルセー美術館やメトロポリタン美術館の所蔵するアート作品が出てきたり、
オペラ歌手マリア=カラスの絵本が出てきたり。
ユーモアだけでなく、アートな香りもただよう一冊です。
★虹とあそぶ少年のファンタスティックな物語★
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『A Rainbow of My Own』
Don Freeman/作
Penguin Group USA/刊 630円(税込)
※ペーパーバッグ翻訳版『みつけたぞぼくのにじ』
大岡信/訳 岩波書店/刊 924円(税込) |
そして、もう一冊は『A Rainbow of My Own』。
Don Freemanの作品は、一昨年11月にお届けした『Fly High, Fly Low』以来の登場です。
ある日、虹を見てつかまえたくなってしまった少年。
大急ぎで外にとび出しましたが、虹は消えていました。
ところが、いつのまにか虹が自分のあとをついてきているのに気づき……。
虹をジャンプしたり、すべりおりたり、寝っころがったり。
つかのま、虹とたのしいひとときを過ごします。
子どもの頃、虹の上を歩いてみたいと思っていたわたしにとっては
まさに夢のようなお話。
虹を期待して歩けば、梅雨空も悪くないかも。
2011/6/27 月曜日
早崎 :ブッククラブ
英語絵本
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「子どもの本の定期便」ブッククラブ・絵本の本棚から、
6月の英語絵本「P1コース」と「P3コース」のご紹介です。
まずは「P1コース」。
※今月は2冊セットです
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「P1コース」◆『I Am a Bunny』
Ole Risom/文
Richard Scarry/絵
Random Housesu/刊
630円(税込) |
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◆『Alphabatics』Suse MacDonald/作
Simon & Schuster/刊
945円(税込)
※ペーパーバッグ版 |
★絵本に描かれたウサギでは、10指に入るかわいさ!★
Richard Scarryと言えば、
「Richard Scarry’s Best Word Book Ever」などの百科事典的内容を凝縮したシリーズが有名ですが、
1960年代にはとびきりかわいらしい童画の絵本を発表していて、本書はその代表作のひとつ。
春には花を摘み、夏には太陽の下で寝そべり、
秋には色づいた落ち葉を眺めたりと、
子ウサギが美しい四季の移り変わりを満喫していきます。
子どもの語り口で進む英文は読みやすく、
日常会話に役立つ表現が多いのも魅力的です。
もう1冊は、アルファベットの成り立ちを
まるで象形文字のように絵で見せてくれる
アルファベット絵本です。
斬新さとあそびごころに溢れた本書は、
子どもはもちろん、大人も見入ってしまいそう。
★哀愁と新鮮さを感じる2011年のコルデコット大賞受賞作★
今年度のコルデコット大賞受賞作の本書は1月の受賞以降、
ニューヨークタイムズ紙の週間売上(子どもの本部門)で
現在もトップ10に入るベストセラーです。
エイモスさんは動物園の飼育係で、動物たちの人気者。
動物たちはエイモスさんとあそぶことが何よりのしあわせです。
ところがある日、エイモスさんが風邪をひいて休んでしまいます。
心配した動物たちが家までやってきて……。
「動物と、人間の友だちみたいに仲よくしたい」と願う
子どもや大人には本当にうらやましいお話。
エイモスさんと動物たちが見せる穏やかなまなざしは、
読者のこころをじんわりとあたためます。
全米の子どもたちを魅了し続ける本書は、
ことばの壁を越えてたのしめる珠玉の一冊です。
2011/6/19 日曜日
大井 :子どもの本売り場
絵本つれづれ, 絵本作家さん
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ただいま東京店では、この春五味さんがスペイン、バルセロナで行ったワークショップのようすを,たくさんの写真パネルでご紹介する展示を行っています。
11日(土)には五味さんがお店にいらっしゃり、トークイベントとサイン会も開催、
スライドショーと五味さんの「おしゃべり」に盛り上がりました!

「残念ながら参加できなかった!」という方は、クーヨン7月号でも、
五味さんのバルセロナレポートを掲載していますので、ご覧になってみてください。
展示は6月末までです。お早めにどうぞ。
五味さん、どうもありがとうございました!
2011/6/9 木曜日
大井 :子どもの本売り場
イベント
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こんにちは、東京店子どもの本売場の大井です。
今月から、「五味太郎さん バルセロナ・ワークショップ写真パネル展」を開催中です。

スペインで五味さんの本を出版しているCOCO BOOKSが
4月に五味さんのワークショップを企画、準備していたところ東日本大震災があり、
イベントは急遽バルセロナ市とカタルーニャ州政府も加わった「日本の復興を祈念する」イベントとなりました。
晴天のもと、大きな紙に色とりどりのメッセージを
手や足や全身(!)を使って描いていく子どもたち、大人たちが
とても気持ちよさそうです。
バルセロナのひとびとの想いと、ワークショップのようすを
たくさんの写真でご紹介するとともに、五味さんの本も大特集しています。
今週末には五味さんのスライドトークイベント&サイン大会もありますので、ぜひ、あそびにいらしてくださいね。
この日は「原発とエネルギーを学ぶ朝の教室」もありますから、両方ご参加も大歓迎。
お待ちしております!
2011/5/20 金曜日
早崎 :ブッククラブ
英語絵本
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「子どもの本の定期便」ブッククラブ・絵本の本棚から、
5月の英語絵本「P1コース」と「P3コース」のご紹介です。
まずは「P1コース」。
世界中で大人気の絵本作家エリック・カール。
『The Very Hungry Caterpillar』と同様、
英語初心者におすすめの一冊です。
くるりと首をひねり、
得意顔でポーズを決めるペンギンが
「Can you do it?(こんなことできる?)」と、
女の子に尋ねます
そんなペンギンの動作を真似て、
女の子はこたえます。
「I can do it! (できるよ!)」
次々と動物が登場し、
同じ動作ができるかと子どもたちに尋ねます。
キリンは長い首をぐにゃり、野牛は肩をいからせ、
サルは両腕をぶんぶん……。
同じ動作で対抗する子どもたちの
得意げな表情がなんともかわいいです。
実際にからだを動かしながらセリフを声に出すと、
自然と英語のリズムが身に付きそうです。
「P3コース」※今月は2冊セットです。
がまくんとかえるくんのほのぼのとした友情を
描いたおはなしが5編収められています。
しかも、作者自身が語るCD付き!
少し長めの文章ですが、
作者のニュアンスある読みが、内容理解を助けてくれます。
まずは1話ずつ、文字を指で追いながらCDを聴き、
最後に、音声と一緒に読むことに挑戦! 声に出して読める
ようになると、
いっそうおはなしの世界に親しみを感じます。
もう一冊は、同作者による、妻・アニタ・ローベルとの共作。
庭に咲くバラと、その上のハチに、ひとつまたひとつと、
新たな花と動物が加わって、最後には……。
繊細なタッチで描かれた花々は、
植物画好きの大人にもご満足いただける一冊です。
2011/5/17 火曜日
高橋 :ブッククラブ
英語絵本
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こんにちは。
「子どもの本の定期便」ブッククラブ・絵本の本棚から
英語絵本「P2コース」5月のご本を紹介します。
今月お届けするのは『Madeline』。
1939年にアメリカで出版されて以来、
版を重ねている正真正銘のロングセラーです。
パリの古い寄宿舎で、12人の少女がクラベル先生と暮らしています。
食事をするときも、寝るときも、外出するときも、いつもきちんと2列に並び
規則正しい生活を送っています。
12人のなかでいちばんのおチビさんがマドレーヌ。
恐れ知らずでいつも元気いっぱいの女の子です。
そのマドレーヌが、ある夜ベッドで泣いているではありませんか。
お医者さんに診てもらうと、なんと虫垂炎にかかっていました。
そのまま緊急入院したマドレーヌ。
はたして、彼女の容体は……。
このマドレーヌ、名前は作者ベーメルマンスの妻に由来し、
性格は、娘のそれを反映させたものだとか。
きれいに韻を踏んだ文章のリズムの心地よさは
原書ならではの醍醐味です。
2011/4/22 金曜日
早崎 :ブッククラブ
英語絵本
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「子どもの本の定期便」ブッククラブ・絵本の本棚から、
4月の英語絵本「P1コース」と「P3コース」の
おなじみデイビッドとフランシスをご紹介です。
まずは「P1コース」。
やんちゃっ子デイビットが活躍する人気シリーズ。
家ではママに叱られっぱなしのデイビッドですが、
学校ではどんな子なんでしょうか?
期待しつつページをめくると、
先生のお叱りの第一声からはじまります。
「David!You’retardy!(遅刻ですよ!)」
なんと学校ではママに代わって、先生の声が轟きます。
「Sitdown,David!(席につきなさい!)」
「Don’tchewguminclass!(教室でガムはダメ!)」
「PayAttention!(よそ見しない!)」
何度叱られても懲りないデイビッド、
その勢いは学校へ行っても止まりません。
英文は各ページ1行で先生のセリフのみ。
先生になりきって音読すると、
思わず大声になってしまうのでご注意!
デイビッドの将来を心配する読者も多いと思いますが、
実は大人になったデイビッドは絵本作家になり、
自身の子ども時代を元に描いた「David」シリーズで、
一躍人気者になりました。
誰のことだか、わかりますよね!
動物の擬人化に定評のあるガース・ウイリアムズと、
子どもらしさを描くことに長けたラッセル・ホーバンによる名作中の名作。
おやすみの時間になっても
寝たくないアナグマの少女フランシスは、
いろいろと理由をつけては眠ろうとしません。
「牛乳が飲みたい」
「寝室までおんぶして」
「ぬいぐるみと寝たい」
などと甘えた末、やっとのことで床に入りますが……。
「寝たくない子ども」は絵本の永遠のテーマですが、
本書は子どもの「寝たくなさ」が、丹念なことばでなぞられていきます。
その展開は、読んで聞かせるのを前提にしていることが、
音読してみるとよくわかります。
長めの文章ですが、パパ、ママ、フランシスに分かれた読み合いはたのしそう!
2011/4/18 月曜日
高橋 :ブッククラブ
英語絵本
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こんにちは。
「子どもの本の定期便」ブッククラブ・絵本の本棚から
英語絵本「P2コース」4月のご本のご紹介です。
今月は、長いながい冬眠中に1匹のクマが見た夢のお話です。
★個性的な色彩で描かれる、
もう若くはないクマの夢★
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『Old Bear』
Kevin Henkes/文
Harpercollins/刊
1,796円(税込)
翻訳版『はるまちくまさん』
いしいむつみ/訳
BL出版/刊
1,365円(税込) |
年老いたクマがある冬、眠りにつきやがて夢を見はじめます。
夢の中でクマは子グマに戻っています。
春、大きなクロッカスの中で昼寝をしたかと思うと、
夏にはデイジーの太陽に照らされたり、ブルーベリーの雨に降られたり!!
秋にはすべてのものが黄色とオレンジ色に染まり、
やがて夢の中でも凍てつくような冬が訪れます。
夢の中のできごとなので、現実ではあり得ないような光景が次々と広がり
びっくりしたり、笑ってしまったり、思わず見とれてしまったり。
アメリカらしい色彩の絵と、2~3行程度の短い文章。
英語絵本にはじめてチャレンジするひとにも、とても読みやすい一冊です。
2011/4/12 火曜日
吉原 :編集部
絵本作家さん, クレヨンハウス出版の絵本
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こんにちは、編集部の吉原です。
余震が続き不安な日々ではありますが、
被災地の子どもたちに絵本を送るプロジェクト「HUG&READ」の輪は、
お陰さまでどんどん広がっています!
http://hug-read.blogspot.com/
ご協力くださった皆さま、ありがとうございます。
3月11日からひと月。
この間編集部にも、海外在住の方々から「大丈夫?」の
お声がけを多くいただきました。
発売したばかりの絵本『トトシュとマリーとたんすのおうち』の作者、
カタリーナ・ヴァルクスさんも、日本の状況を心配してメールをくれました。
「もちろん返信は不要です。
ほかにもやらなければいけないことがたくさんあるでしょうから」
と書いてくださった細やかなこころづかいを、
わたしたち編集部も忘れずにいたい、と思いました。
そんなカタリーナさんのお話は、いつもユーモアたっぷり。
だけど、読み終わるとじんわり、
やさしい気持ちになれるふしぎな魅力があります。
シリーズものではないけれど、
同じキャラクターが別の作品にも脇役として登場するのが、
カタリーナさん作品の特徴。
『ぼくのたからもの』で葉っぱをコレクションしていたネズミのトトシュ、
『リゼッテとかたつむりのうばぐるま』で目立っていた
てんとうむしのマリーが、今回の主人公です。
トトシュが拾ったタンスには、じつはマリーが住んでいて……?
ふたりのおかしなやりとりに、ほっと和みながら、
「それぞれの居場所」と「一緒にいる時間」と、
どっちも大切だよねって、あらためて思います。