2011/9/29 木曜日
早崎 :ブッククラブ
英語絵本
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「子どもの本の定期便」ブッククラブ・絵本の本棚から
9月の英語絵本「P1コース」と「P3コース」のご紹介です。
まずは「P1コース」。
★やさしいけれど、それだけじゃない、
名作フォークソングが絵本に★
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◆『Day Is Done』
Peter Yarrow/文
Melissa Sweet/絵
Sterling Pub Co Inc/刊
1,696円(税込)
※CD付き |
1960年代のフォークブームの中心的存在だった
ピーター、ポール&マリー。
日本ではかつて、CMなどで曲が使われていたので、
その名前になつかしさを覚える方も多いのではないでしょうか?
その一員だったピーターが書いた歌詞に、
絵を添えてできあがったのがこの絵本。
付属のCDには本編の『Day Is Done』のほかに、
全3曲が収録されたなんとも豪華な内容です。
ページをめくるたび、
くま、うさぎ、たぬき、ねずみなどの動物の親子が、
仲むつまじく寄り添った姿を見せてくれます。
親の子に向けるあたたかなまなざしからは、
深い愛情を感じ取ることができ、
何度見てもこころがあたたまります。
さらにポールのやさしい歌声が、
子どもたちには最高の子守唄になりそうです。
見るもよし、聴くもよし、歌うもよしの、
三拍子そろったギフトにもおすすめの一冊です。
そして「P3コース」。
★少女は『ぜったい馬』がほしかった……
ノスタルジックな人気作家の自伝★
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『Everything but the Horse』
Holly Hobbie/作
Little Brown & Co/刊
1,696円(税込)翻訳版:『ホリーのゆめ』
二宮由紀子/訳
BL出版/刊
1,575円(税込) |
近年は絵本「Toot and Puddle」シリーズが人気の作者。
実は70年代にアメリカ開拓時代の少女のイラスト「Holly Hobbie」で
ブームを巻き起こした、知るひとぞ知るイラストレーターでもあります。
本作は自身の少女時代を描いた自伝的絵本。
時代は50年代ですが、家族で移り住んだ農場が舞台なので、
『大草原の小さな家』的な趣がまだ残っています。
透明で郷愁を誘う絵にうっとりさせられます。
タイトルが表すように、本書に描かれた少女時代の作者は、
何にも増して馬がほしくてしかたありませんでした。
乗馬する姿を想像したり、馬の絵をたくさん描いたりと、
その思いは日々増すばかり。
はたして彼女の夢は叶ったのでしょうか?
最後に用意されたオチに、
みんな笑顔になることまちがいなしです。
2011/9/17 土曜日
高橋 :ブッククラブ
英語絵本
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こんにちは。「子どもの本の定期便」ブッククラブ・絵本の本棚から
英語絵本「P2コース」の9月の本を紹介します。
★犬の本屋さんがおしえてくれる本の魅力!★
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◇『Dog Loves Books』
Louise Yates/作
Random House/刊
1,696円(税込)翻訳版:『ほんやのいぬくん』
ほんじょうまなみ/訳
岩崎書店/刊
1,365円(税込) |
とある町に本が好きで好きでたまらない犬がいました。
好きがこうじて、ついに自分の本屋さんを開いてしまいます。
ところが、期待に反していっこうにお客さんが来てくれません。
意気消沈する主人公。
でも、すぐ気をとり直して、大好きな本を広げました。すると……。
主人公が、本のにおいを嗅いだり、本の感触をたのしんだり、
読みはじめると周りの世界が一変してしまうあたりの描写は
本が好きなひとなら大いに共感してしまうのでは。
実は、作者は英国で作家になる前、古書店に勤めていたことのある経歴のもち主なのだとか。
きっと、かなりの本好きなのでしょうね。
ケイト・グリーナウェイ賞にもノミネートされた本作は、絵にも注目です。
表情豊かな主人公の愛らしい一挙一動は、一度見たらクセになるかも。
2011/9/16 金曜日
大貫:東京店
絵本作家さん, イベント
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先週土曜日、「子どもの本の学校」がありました。
今回は、翻訳家、エッセイストとして活躍中の
フランス文学者、野崎歓さんをお迎えしました。

テーマは、「フランスの絵本のおもしろさ」。
フランスでも人気の「ラプーたんていのじけんぼ」シリーズを訳して、
あらためて見えてきたフランス文学の魅力をたっぷりと話してくださいました。
高校時代にランボーなどに魅了されて以来、向き合ってきたフランス。
文学のほかにも、ことばのこと、ひとびとのこと……。
「アムール」という、フランス語で「愛」(というひとことでは
言い表せないのですが!)を表すことばがキーワードでした。
絵本の翻訳は「ラプーたんていのじけんぼ」シリーズがはじめて、
と言う野崎さん。
「アムール」が子どもの本でどう描かれているのか、
途中フランス語を交えながら、日本語とフランス語の違いと一緒に
愛を込めて、紹介してくださいました。
わくわくするおもしろさで、あっという間の1時間半。
この講演の内容は、[クーヨン]12月号(11月3日発売)にも掲載します。
聞き逃した方は、そちらをおたのしみに!
2011/8/29 月曜日
大貫:東京店
クレヨンハウス出版の新刊, 絵本作家さん, イベント
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21日(土)の「子どもの本の学校」のご報告、遅くなってしまいました!
今回は、小説、絵本……さまざまな作品を手がけられている、
作家・寮美千子さんにお越しいただきました。
テーマは、「詩が開いた心の扉 『空が青いから白をえらんだのです
奈良少年刑務所詩集』」。
お話は、奈良少年刑務所の更正教育の一環、社会性涵養プログラムにて、
詩と物語の授業をすることとなったきっかけからはじまりました。
奈良少年刑務所の建物に魅了され、訪れたその1年後、
受刑者である少年たちとの授業がはじまります。
どんなに「凶暴で悪いひと」たちがそこにいるのか……そして
どんな授業をしたらよいのか……と、あれこれ考えながら臨んだ授業。
詩を声に出して読み、歌い、物語の登場人物を演じ、詩を書く。
それが驚くほどに、少年たちのこころの扉を開いていったことを、
熱く語ってくださいました。
詩集の中の詩をいくつか読んでくださり、その詩の作者について、
そして、その詩を授業で発表したときのエピソードについて、
お話をしてくださったときは、会場の誰もが、
胸の奥からぐっと、込み上げてくるものがあったと思います。
詩との出会い、物語との出会い、そして、何よりも、寮さんと彼らの
出会いがもたらした変化。
出会いがもつ、力のすごさを感じました。
「彼らは、かならず変われます。そして、罪を償った彼らを受け入れる、
ひとと社会が必要なのです」
最後に、強くやさしい眼差しで、わたしたちに語りかけてくださいました。
ぜひ、たくさんの方に手に取って読んでいただきたい一冊です。
2011/8/17 水曜日
高橋 :ブッククラブ
英語絵本
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「子どもの本の定期便」ブッククラブ・絵本の本棚から
英語絵本「P2コース」の8月の本を紹介します。
★『おやすみなさいおつきさま』の作者が語る、農場ののんびりした一日★
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◇『Big Red Barn』
Margaret Wise Brown/文
Felicia Bond/絵
HarperCollins/刊
1,890円(税込)翻訳版:『おおきなあかいなや』
えくにかおり/訳
偕成社/刊
(品切れ・重版未定) |
世界中で愛されている『Goodnight Moon』、
その著者M.W.ブラウンが、前書と同じ年頃の読者を念頭に書いたロングセラーです。
絵は、やはり人気の高い『If You Give a Mouse a Cookie』のフェリシア・ボンド。
広々とした農場の真ん中に建つ赤い納屋。
青く澄んだ空と、緑豊かな牧草地に、納屋の赤い色が映えてとてもきれいです。
納屋のそばでは、きょうもちいさないのちが誕生し、
動物たちが親子でたわむれ、のどかに一日が過ぎていきます。
登場するのは動物だけ。
どの動物もひとこともしゃべったりはしません。ただ鳴き声が描写されているだけです。
それなのに、いきいきとした満足そうなようすが伝わってくるのは、
フェリシア・ボンドの画力によるのでしょうか。
何か事件が起きるわけでもなく、のんびりとした農場の一日がたんたんと描かれているだけの本書。
何ごともない平穏な日常が、かけがえのないものだということをあらためて感じさせてくれる一冊です。
2011/8/16 火曜日
早崎 :ブッククラブ
英語絵本
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「子どもの本の定期便」ブッククラブ・絵本の本棚から
8月の英語絵本「P1コース」と「P3コース」のご紹介です。
まずは「P1コース」。
★真新しい真っ赤なワゴンに乗れば、
買いものが冒険に早変わり★
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◆『Red Wagon』
Renata Liwska/作
Philomel Books/刊
1,785円(税込) |
『The Quiet Book』のイラストで一躍人気者になった、
ポーランド出身のイラストレーターが、文にも挑んだ第1作目。
おつかいをたのまれた子ギツネのルーシーは、
お気に入りの赤いワゴンを引いてマーケットへ出かけます。
ちょっとしたおつかいでも、ちいさなルーシーにとっては大冒険。
マーケットまでの道のりが、たのしい冒険の旅へと早変わりします。
小船や汽車など、すてきに変身した赤いワゴンで目的地を目指します。
登場する動物たちの仕草や表情が愛らしく、
ページをめくるたびに頬がゆるんでしまいます。
自由な発想で想像をふくらませる「ごっこあそび」のおもしろさが、
たっぷりと味わえるのも本書の魅力のひとつ。
そして「P3コース」。
★不思議なピンクの冷蔵庫がひとりの人生を変える★
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『The Pink Refrigerator』
Tim Egan/作
Houghton Mifflin
Harcourt/刊
1,680円(税込)
翻訳版:『ピンクのれいぞうこ』
まえざわあきえ/訳
ひさかたチャイルド/刊
1,470円(税込) |
リサイクル店を営むドッズワースのモットーは、
「できるだけ何もしないこと」。
はたから見たら、単調な毎日を過ごしているのですが、
当の本人は大満足。
ところがある日、買い付けに行った廃品集積所で、
古びたピンク色の冷蔵庫を見つけます。
その扉には「Make Pictures」と書かれたちいさな貼紙と、
扉を開けると中には画材が。
それを商品として持ち帰り陳列するものの、
結局、売らずに自分で使って絵を描きはじめます。
翌朝、再び冷蔵庫の前へ戻ってみると、
今度は「Read More」と書かれた貼紙と本が……。
人生の示唆に富んだ本書は、
毎日の生活に変化をもたらすきっかけにも。
何かをはじめたい、自分を変えたいと思う方は、
まずはぜひ本書を「Read More」!
2011/8/11 木曜日
大井 :子どもの本売り場
絵本作家さん, イベント
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こんにちは。子どもの本売場の大井です。
立秋を過ぎましたが、まだまだ暑いですね!
あつ~い夏休みに涼しくなりそうな展示のご案内を。
子どもの本売場では、長野ヒデ子さんの新刊絵本、
『おばけのチョウちゃん』の原画展を開催中です(~15日まで)。

『おばけのチョウちゃん』
長野ヒデ子/文・絵
大日本図書/刊
1,470円(税込)
長野さんの描いた、こわくてかわいいおばけたち。
おばけにも夏休み(学校も!)があるんですって!
ちょうちんおばけのチョウちゃんは、
家族みんなでおじいちゃんのところへあそびに行きました。
すると……。
おばけの世界の「夏休み」をのぞきに、
あそびにいらしてください。
2011/7/17 日曜日
早崎 :ブッククラブ
英語絵本
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それでは「子どもの本の定期便」ブッククラブ・絵本の本棚から
7月の英語絵本「P1コース」と「P3コース」のご紹介です。
まずは「P1コース」。※今月は2冊セットです
★『ロージーのおさんぽ』の原書、
たった30語余が描くドラマ!★
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◆『Rosie’s Walk』
Pat Hutchins/作
Simon & Schuster/刊
1,955円(税込)翻訳版:『ロージーのおさんぽ』
わたなべしげお/訳
偕成社/刊
1,050円(税込) |
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◆『Dear Zoo』
Rod Campbell/作
Simon & Schuster/刊
720円(税込)
※ボードブック翻訳版:『どうぶつえんのおじさんへ』
きたむらまさお/訳
大日本絵画/刊
1,575円(税込) |
農場を優雅に散歩するめんどりのロージー、
その背後にはロージーを狙うキツネの姿が……。
身の危険に気づかず散歩を続けるロージーと、
ことごとく失敗するドジなキツネ、
ふたりの対照的な姿が笑いを誘います。
悪者であるキツネも愛嬌があって憎めない存在です。
何度失敗しても立ち上がる姿勢は見習いたいものですが、
強運なロージーにはかなわないようです。
わずか30語余の文字量ですが、
絵がドラマチックなので想像の世界を広げてくれます。
もう一冊は、簡単なしかけが人気のボードブック。
ミニサイズなので持ち運びにも便利です。
動物園に「ペットをください」と手紙を書いたら、
大きな箱や長い箱が次々と送られてきて……。
箱のフタをめくると中身が現れるしかけがたのしく、
あかちゃんへの読み聞かせにもおすすめです。
そして、「P3コース」。
★自由な地へ、自分を箱に入れて発送した少年★
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◆『Henry’s Freedom Box』
Ellen Levine/文
Kadir Nelson/絵
Scholastic/刊
1,749円(税込)翻訳版:『ヘンリー・ブラウンの誕生日』
千葉茂樹/訳
鈴木出版/刊
1,995円(税込) |
「あそこの、風に吹き飛ばされる葉を見てごらん。
まるで奴隷の子が家族から引き離されていくようだ」
本書がそう語るような過酷な時代が、
160年ほど前のアメリカにはありました。
本書は自分を箱に入れて、
奴隷が解放されている州へ発送し、
無事に念願の自由を勝ち取った元奴隷の少年の物語です。
奴隷として扱われていたひとびとの事実を、
やさしい語り口と詩情溢れる絵がおしえてくれます。
これが事実だというのに驚かされると同時に、
人間の尊厳について深く考えさせられます。
2011/7/16 土曜日
高橋 :ブッククラブ
英語絵本
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こんにちは。
梅雨も明け、本格的な夏がやってきました。
クレヨンハウス東京店の緑のカーテンも、日々成長しています。
それでは「子どもの本の定期便」ブッククラブ・絵本の本棚から
英語絵本「P2コース」7月のご本を紹介します。
今月は2冊のお届けです。どちらもペーパーバック版なので、
旅先にも持って行きやすいのがうれしいですね。
★ほとんどのアメリカ人が知っている絵本といえば★
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『Green Eggs And Ham』
Dr.Seuss/作
Random House/刊
1,029円(税込)
※CD付きペーパーバック |
まず、一冊目は『Green Eggs And Ham』。
Dr.Seussの作品は、15ケ国以上のことばに翻訳され、
合計発行部数は2億冊を超えるといいます。なかでも、この作品は
1960年の出版以来2001年までに刊行された英語児童書のなかで
堂々のベストセラー第4位に輝いているそう。
主人公のサムが友人に緑色のハムエッグを食べないかとすすめます。
すげなく断られても、メゲることなくあの手この手ですすめるサム。
そのあまりのしつこさと、律儀に断り続ける友人とのかけ合いがおかしくて
思わず笑ってしまいます。
なんといってもいちばんの魅力は、いまにも動き出しそうな
躍動感のあるイラストと韻を踏んだくり返しの文章。
CDも付いているので、ことばの響きのおもしろさをたのしんでみてください。
★ペットはへび!?★
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『Crictor』
Tomi Ungerer/作
Harpercollins/刊
720円(税込)
※ペーパーバック翻訳版『へびのクリクター』
中野完二/訳
文化出版局/刊
1,050円(税込) |
もう一冊は、やはり絵本界の巨匠Ungererの『Crictor』です。
ボドさんは誕生日に、アフリカに住む息子からへびを1匹プレゼントされます。
最初は驚いたものの毒のないへびとわかると、
ボドさんはクリクターと名付けて大事に育てます。
賢くこころやさしいへびに育ったクリクター。
そして、ある事件をきっかけに勇敢なへびであることも証明されます。
ペットと呼ぶには、あまりにも人間に近いクリクターの生活ぶりが
おかしいやら、かわいいやら。長~いベッドにお布団をかけて寝ていたり、
冬には手編みのセーターを着て散歩したり、
カフェでボドさんと一緒にお茶したり……。
正直、へびは苦手なわたし。
でも、クリクターだけは別!!
あまりのかわいさに一度読んで以来、大好きな一冊になっています。
2011/7/15 金曜日
吉原 :編集部
絵本作家さん, イベント
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こんにちは、編集部の吉原です。
青山のスペースユイでスタートした
「本橋成一×スズキコージ展 NO MORE ATOMIC ENERGY! ゲンパツイラナイ」に行ってきました。
いま発売中の[クーヨン]8月号取材のとき、ちょうど製作中の絵を
見せていただいたので(写真にも写っていますヨ)、
はじまるのをたのしみにしていたんですが……
とてもすばらしかったです!
本橋さんが撮影したチェルノブイリのひとびとや風景を、スズキさんが大胆に刺激的にコラージュしているのですが、そこに写ったひとたちのほとんどが、その後、放射能の影響で亡くなってしまったそうです。
大きなポスターにして町中に、いや日本中に貼れたらいいのに!
わたしたちに同じことが起きようとしている、そのことを忘れず、
未来を変えていけるように。
スズキコージさんが描く「ぶたのぶたじろうさん」シリーズも、
7/4新刊が発売しました。
こちらもまた、大胆で刺激的です!

『ぶたのぶたじろうさんは、だれかにてをふりました』
内田麟太郎/文
スズキコージ/絵
クレヨンハウス/刊
998円
>ぶたじろうさんの特設サイト