2008/4/16 水曜日
大井 :子どもの本売り場
絵本作家さん, イベント
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先日、このブログでもお知らせしました、
『ぼちぼちいこか』の作者マイク・セイラーさんのトーク&サイン会がありました。
前日から心配していたのですが、当日はあいにくの雨…。
それでもクーヨンの取材のために開店前にきてくださったマイクさんは、
葛飾北斎の描く浮世絵のような波の柄のシャツに黄色(トレードマークなんだとか)のキャップがとてもお似合いで、スタッフにも気さくに話しかけてくださいました。
おおいに盛り上がっていたインタビューのようすは次のクーヨン6月号に掲載します。
どうぞお楽しみに!
そして午後からはいよいよイベントがはじまりました。
はじめにクレヨンハウスのお店を地球にみたてて、あっちがアメリカ、こっちが日本、
お店の端から端までこーんな距離を移動してここにきましたという話しぶりに、
みんなすぐにひきこまれてしまったようです。
そのあとの、みえないわゴムをひっぱっての『わゴムはどのくらいのびるかしら?』、
未邦訳の『Black Lagoon』シリーズのよみきかせでも、
読み手と聞き手の交流する思いが熱気となって、お店に満たされているのを感じました。
とくに『ぼちぼちいこか』では消防士に船乗り、バレリーナと
さまざまなものに挑戦するかばくんに、みんな大きな声で 「No~!」。
そして最後に「ま、ぼちぼちいこか ということや」と
みんなで一体となって味わうのはすてきな経験でした。
トークの最後には、この絵本を訳された今江祥智さんがこの日に合わせて送ってくださった、マイクさんへのお手紙をご紹介し、お渡しすることができました。
直筆の丁寧な絵入りのお手紙にはマイクさんも感激されて、
おかえしにと色紙に書かれたのは、かばくんの絵と今江さんへのメッセージ。
気持ちのこもった力強い筆跡に、お預かりしたスタッフからは思わずほーっと息がもれました。
その後のサイン会でも、一人一人丁寧に時間をかけてサインしてくださり、
帰られるお客様の上気してうれしそうな顔が印象的でした。
そして、残念ながらご参加いただけなかった方のためにも、
マイクさんが時間になるまで『ぼちぼちいこか』にサインをしてくださいました。
20冊限定なのでお早めにどうぞ。
イベントのご案内をしていて、
「自分も子どもも持っててうちに2冊あります」という方も少なくなかったこの絵本。
それぞれの読んだ記憶や思い出とともにご来店くださったみなさまと
1冊の絵本を年齢を超えて、一緒にたのしんだ時間こそが
マイクさんのすてきなプレゼントだったように思います。
マイクさん、ほんとうにどうもありがとうございました!

撮影/宮津かなえ
*マイク・セイラーさんのサイン本は、eショップでもご購入いただけます。
残りわずかですので、お早めにどうぞ!
>>ご購入はこちらから
2008/4/14 月曜日
村山 :ブッククラブ
英語絵本
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「子どもの本の定期便」 ブッククラブ・絵本の本棚から
4月の洋書コースのご紹介です。
春です!こころもからだもワクワクそわそわ。
新年度のブッククラブのスタートにぴったりのみずみずしい3冊をお届けします。
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P1(ようこそコース):郵便小包になって、あなたのところに飛んでいきたい
I Miss You Every Day ◇Simms Taback/作 Penguin Group USA/刊 ◇2,142 円(税込) |
ヒロインの少女が住んでいるのは、アメリカ東部。その子が、遠く西部にいる誰かに「毎日会いたい」と思い、ついにあることを決行する。
……「郵便物」になって会いにいくことにしたのです。自分を包装し、箱に入れ、郵便物となって、郵便局から運び出され、飛行機に乗せられ……と、場面を追うごとに相手に近づいていきます。 『Joseph Had a Little Overcoat』の作者一流の話運びに、たのしく「乗せられ」ます。
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P2(じっくりコース):虹色のゾウ、エルマーがゾウ色になったら……
ELMER ◇David McKee/作 HarperCollins/刊 ◇2,142 円(税込) |
エルマーはゾウはゾウでも、いろいろ色がパッチワーク状の個性的なゾウ。色だけでなく、エルマーの存在は他のゾウを幸せにしますが、エルマー自身は幸せを感じられません。みんなと同じ色にしてみますが、エルマーがエルマーでないみたい……。持って生まれた個性は変えたりせず、「贈り物」と考えたほうがいいのでしょうか。 68年にはじめて出版された作品と知って、驚きました。まるで新作と見まがうばかりの、みずみずしさです。
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P3(ドキドキコース):生まれる前から愛されていた、と知る幸せ
You Were Loved Before You Were Born ◇Eve Bunting/文 Karen Barbour/絵 Scholastic/刊 ◇2,142 円(税込) |
タイトルは『あなたは生まれる前から愛されていたのよ』。生きる希望がわくことばです。親には子どもはそういうものでしょうが、なかなか口にしない。やっぱり言おうか、言ってほしいよね、と思わされます。生まれる赤ちゃんに、誕生をどんなに周囲が待ち望んだかを語って聞かせる本書。明るく洗練された色合いは、希望や幸福感があふれます。 待ちに待った赤ちゃんが、ついに……「YOU CAME!」。 簡単なフレーズから感激が伝わります。 |
さて、今回のP1コース『 I Miss You Every Day』は、
とってもカワイイ絵本です。
「I think about you all the time. I miss you every day.」
ということで、自分を相手に郵送しちゃう女の子のお話です。
そのストレートな言いまわしや、キュートな発想に、
ガツンとKOされてしまいました。
シムズ・タバックさんらしい小技もきいていて、
すみからすみまでたのしめます。
例えば女の子の寝室に置かれた本-
マーガレット・ワイズ・ブラウンの『Goodnight Moon』や
キーツの『The Snowy Day』などにまざって、
さりげなく自身の著作『Joseph Had a Little Overcoat』が……。
おもわずニヤリ。
大事なあのひとに会いにいきたくなる本です。
ブッククラブも毎月、会員の皆さまにこんなすてきな「郵便物」をお届けできるよう、がんばっていきたいと思います。
>ブッククラブについてはこちらから
2008/4/11 金曜日
吉原 :編集部
絵本つれづれ
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3月31日~4月3日まで開催されていたボローニャ国際児童図書展へ行ってきました。
翻訳出版できる作品を探すのがおもな目的で、
あらかじめアポイントを入れてもらっていた出版社のブースをたくさんまわりました。
一般書も含まれるフランクフルトのブックフェアほどではないまでも、
広い展示場で30分ごとのミーティングをこなしていくには、なかなかタフさが必要です。
とくに方向感覚に乏しいわたしなどは、会場案内を手に走りまわり、
トイレに行くならいましかない! みたいなことに。
でも、これだけたくさんの洋書を集中して見る機会はそうありません。
まだ本になる前の、ラフ段階のものなどを見せてもらえるのも、わくわくします。
同じ気持ちで子どもの本をつくっているひとたちと出会うと、
わたしもがんばろう、と思います。
ホテルからのシャトルバスが遠~いところに停まったり、
お昼に食べたいものが食べられなかったりしても(イタリア語だから!)、
なんとなしに平和な気持ちでいられるのは、チルドレンズブックの魔法かな?

2008/4/10 木曜日
吉村 :東京店
絵本作家さん, イベント
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こんにちは。子どもの本売場の吉村です。
今日は、もう間近にせまっているマイク・セイラーさんのトーク&サイン会のお知らせをしたいと思います。
マイク・セイラーさんは、みなさんもうよくご存知の『ぼちぼちいこか』(偕成社)の原作者です。
1975年初版の原書、『What Can A Hippopotamus Be?』は、
現在では残念ながら手に入りません。
マイクさんは1936年、アメリカ、ロサンゼルス生まれの72歳。
現在は特にAuthor Visit活動に力を入れておられるということで、
今回の来日もその活動のひとつだとか。
直前にはおとなりの韓国で。そしてクレヨンハウスでのトーク&サイン会のあとは、
横田で1週間、Author Visitを行う予定だそうです。
今回はそのスケジュールの合間に、日本の書店で日本の読者にも会いたいということで、偕成社さんが新宿の紀伊國屋さんとクレヨンハウスを紹介してくださったというわけです。
さて、『ぼちぼちいこか』が日本でこれだけ愛され、ロングセラーであり続けている理由のひとつには、児童文学作家、今江祥智さんの名訳のお力が大きいのではないでしょうか。
そこで、今江さんに、マイクさんがクレヨンハウスに来てくださることをお知らせしたところ、
「せっかくだからマイクさんにおてがみでも書きましょう」
などと気軽に言ってくださいました。
13日のトーク&サイン会では、今江さんからマイクさんにあてたおてがみも、ご紹介できるかもしれません。
電話のむこうの今江さんは、マイクさんにはお会いできないけれど
「よろしゅうに。まぁぼちぼちセイラー」などと絶妙の今江節を披露してくれました!
さて、さて、13日のトークイベントでは、ホワイトボードをお使いになるとか。
イラストもお得意のマイクさんが日本の読者にどんなプレゼントを用意してくださっているのか……たのしみとドキドキの2時間になりそうです。
この機会にぜひお出かけください。
4月13日(日)13:00~15:00、クレヨンハウス子どもの本売場で待っています。
また、ご来店いただけない方もサイン本のご希望があればご連絡ください。
>イベントの案内はこちら
2008/4/9 水曜日
吉村 :東京店
絵本作家さん
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こんにちは。子どもの本売場の吉村です。
石井桃子さんが4月2日に亡くなりました。
いつかこの時が来ることを知りながら、訃報に際し石井さんだけはまだまだ現役であり続けてほしいと思っていた……と多くのみなさんが感じたことではないでしょうか。
店でもさっそく「ありがとう 石井桃子さん」のコーナーを作りましたが、
あらためて、そのお仕事の大きさ、深さを感じずにはおれませんでした。

石井桃子さんを悼んで、クレヨンハウス代表の落合恵子が、4月8日の東京新聞でその思いを綴りました。ごらんください。
石井桃子さんが亡くなった。その後に続けるべき言葉がまだ見つからないでいる。
創作、翻訳、編集、そして「かつら文庫」の活動等々、戦後の児童文学の深く上質なこの「牽引車」を、ほかの方々は何と呼んでおられるのだろう。
先生とお呼びすることに微塵の躊躇や不安はないのだが、
はじめてその作品に接した小学生の頃に戻り、わたしは桃子さんと「さん」づけで呼びたい思いがある。
小学校への入学祝いに母から贈られた何冊かの本の一冊が、『ノンちゃん雲に乗る』だった。
桃子さん、最初の創作である。
「ももこさん、ももこさん」。クラスに同名の友だちがいて、
余計にもうひとりの桃子さんを身近に感じた。
ノンちゃんを心の住人に迎え入れることができたわたしは
、母が会社から帰るのを待つ夕暮れ時、アパートの階段に座り、
ズック靴の足を夕焼けに染めながら、ノンちゃんと親密な会話を交わした。
この物語を桃子さんが書き始めたのは、戦時中のこと。
兵庫県の図書館の館長だった小寺啓章さんの『資料でみる石井桃子の世界』。
そこには次のようなエピソードが記されている。
「兵営にいて心痛していた友人を慰めるために」ノンちゃんを書いた、と。
受け取った友人は「読んでいる時だけ人間になっている」と、
「わら半紙」のような紙に書かれた原稿をまわし読みした、と。
三月、「かつら文庫50年の軌跡」展に出かけてこの小冊子を持ち帰ったクレヨンハウス子どもの本のフロアの責任者は四十代後半。
訃報に接し、作家別に分かれた書棚から改めて「石井桃子さん ありがとう」のコーナーを黙々と作りあげたのは二十代のスタッフである。
介護の必要になった母の枕辺で、『おやすみなさいのほん』を母に読んできかせたのは六十代のわたしであり、母は八十代だった。
いまわが店の「石井桃子さん ありがとう」のコーナーで、
ブルーナのうさこちゃんシリーズに額を寄せ合って懐かしそうに見入っているのは父親と中学生の息子さん。
父子共に、うさこちゃんシリーズを読書体験のスタートとしているという。
ピーターラビットにも三世代の愛読者はいる。
クマのプーさんシリーズは、わたしの年末年始休みのナイトキャップであり続けてくれる。
戦時中、日本で桃子さんがノンちゃんを書いていた頃、
アメリカの小さな入り江で、『ちいさいおうち』を生み出したのが、バージニア・リー・バートン。
それを1960年代に翻訳されたのが、桃子さん、という嬉しい偶然(必然でもある)にもまた心躍る。
夭折した女友だちとの交流を描いた『幻の朱い実』を今週はもう一度読み直そう。
『幼ものがたり』の終わりあたり、「明治の終り」と題された章は次のようなフレーズで締めくくられる。
「…昼間、家のなかでぶらぶらしているのは、私ひとりになった。おとなは、みな忙しい。(略)私は、まだ自分では、世の中へ出ていかなかった。世の中が私の前を通ったり、私の中へはいってきたりしていただけである。ちょうどそのときが、明治の終りであった」
あれからずうっと、「世の中」と、それぞれの子どもを見つめ、受け入れ、対峙もし、それは丁寧に活動をされてきた桃子さん。
雲に乗って、また新しい何かを見つけられましたか?
落合恵子
(東京新聞 4月8日夕刊より)
2008/3/27 木曜日
大井 :子どもの本売り場
クレヨンハウス出版の新刊, イベント
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こんにちは。子どもの本売り場の大井です。
通勤の歩く道すがら、あちこちの家からいろんな花が顔をみせてきて
目でも匂いでも春が来ているのを感じます。
今週はいよいよ桜も咲きだして、
なんだか体も心もワクワクしてうれしくなってしまいますね。
子どもの本売り場にもそんな春が今、やってきてるんです。
のいちご、たんぽぽ、かたつむり、かえる、へび…
色とりどりの草花や虫、動物の切り紙たちが
春の到来を告げているかのように華やかに売り場を飾っています。
先週より『今森光彦のたのしい切り紙』作品展が開催中です(~4月6日まで)。
写真家である今森さんのもうひとつの顔、その切り紙作品は、
虫ぎらいのスタッフも思わず眺めいってしまったほどきれいです。
「自然の美しさをかたちにしたいという思いからはじまった」とおっしゃる通り
愛情込めて切り取られたかたちは、驚きや感動まで伝わってくるよう。
初日の20日、カナダから旅行でいらしたというお客様は、
この切り紙をみて、「ビューティフル!」と何度も何度もおっしゃっていました。
こんな出会いに居合わせられるのは本当に幸せなことです。
ほかのお客様でも、ふと見つけると引き寄せられるように近づいていって、
一枚一枚丁寧にご覧になっているのが印象的でした。
それらの切り紙作品がまとまった(型紙までついている!)のがこの本です。

『今森光彦のたのしい切り紙』
山と渓谷社/刊
1,470円(税込)
今なら今森光彦さんサイン入りの本も販売しています。
(>eショップでは写真絵本「わたしの庭」サイン本を販売中です)
数に限りがありますのでぜひお早めに。
クーヨン4月号からは今森さんの切り紙の新連載「いきもの万華鏡」もはじまっています。
こちらもあわせてどうぞご覧くださいね。
だんだん暖かくなってお散歩するのも楽しくなってきました。
散歩がてら絵本を読みにいらっしゃいませんか。
みなさまのおこしを心からお待ちしています。
2008/3/21 金曜日
日景 :編集部
絵本作家さん
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おかげさまで、落語絵本は、子どもから大人まで、
大人気です。そんなうわさが広まったのか、
あのNHK「ラジオ深夜便」に、出演とあいなりました!
明日3/22(土)、NHKラジオ第一、AMです。
「深夜便」という名前の番組ですから、
放送は、もちろん深夜です。
23時10分から24時30分まで、ですから、宵の口ですよね?
でも、この番組、生放送なのです。
愛犬の散歩もあり、早寝早起きという川端さん、
いつもなら、とっくにご就寝の時間とか。
「人生私流」というコーナーで、
ライフワークの落語絵本について語ります。
絵本の一節を、読んでくださる予定です。
なににするかは、当日の気分次第ということですが……
どうぞ、ご期待ください。
編集担当の役得で、生放送の現場を見てきます。
たのしみ! です。
2008/3/14 金曜日
村山 :ブッククラブ
英語絵本
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「子どもの本の定期便」 ブッククラブ・絵本の本棚から
3月の洋書コースのご紹介です。
めっきり春めいてきました。ポカポカ陽気にウキウキ気分。
「新生活」という文字をあちらこちらで見かけます。
新しいことにチャレンジするにはぴったりのこの時期!
絵本で英語をはじめてみませんか?
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P1コース:木の上にトラ発見!村人は、さあどうする?
Tiger on a Tree ◇Anushka Ravishankar/文 Pulak Biswas/絵 Farrar Straus & Giroux/刊 ◇1,890 円(税込) |
| 黒とオレンジの2色のインクをマットな白地に載せただけの、レトロなイラストが新鮮な、オリジナルはインドで出版された絵本です。遊びざかりのトラが木に登ったところを、村人たちが発見。「まさか!」と、祭りのような騒ぎになって……。ほのぼのした村人たちの様子に、「人間も捨てたもんじゃない」と思うのでは。音を意識して、大きさが変わったり、上がったり下がったり、意匠に工夫のある文字をたどれば、上手に読みこなせそうです。
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P2コース: 大切なこと、それはあなたがあなたらしくいること。
The Important Book ◇Margaret Wise Brown/文 Leonard Weisgard/絵 HarperCollins/刊 ◇2,142 円(税込) |
| この世界にある大切なことを、淡々とした口調で語りかけ、考えさせます。作者がとても大切に思っていることは、最後にあります。「You are you」、まるで回文のようにも、呪文のようにも聞こえますが、心の支えになるフレーズです。一見すると文字が多めで難しそうですが、くり返しのおかげで、だんだんとなじみます。子どもたちには、関係代名詞や重文も複文も関係ない。大切なこと-それは詳細ではなく、本の「声」を聞くことでしょう。
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P3コース:エマ・リーのはじめてのティーパーティー、わたしも「レディ」よ!
Emma Lea’s First Tea Party ◇Babette Donaldson/文 Jerianne Van Dijk/絵 Blue Gate Books/刊 ◇2,142 円(税込) |
| めずらしく、コーヒーではなく紅茶好きのアメリカ人一家を描いた、一杯の甘いミルクティーのような味わいの物語です。ヒロイン、エマ・リーが、祖母の誕生日を祝う恒例の女性だけのお茶会にはじめて参加することになり、「レディ」として認められたと思いきや……。少女が「大人の女性」にあこがれ、背伸びをする姿に、読者はなつかしさを感じるでしょう。また特筆すべきは、祖母とはひと味ちがう祖父の愛。これがまた、あたたかく甘いなつかしさでいっぱいです。 |
さて、今回のP3コース『Emma Lea’s First Tea Party 』は、
なかなか長文の絵本です。
文章量が多いと、ウッ!とひるんでしまうわたしですが、
意を決して、読みはじめてみると、「あらあら、とってもいい話」。
ひきこまれて一気に読んでしまいました。
背伸びしたい年ごろの女の子の微妙な気持ちや、
祖母や祖父の孫への愛がていねいに描かれていて、
ほんのりあたたかい気持ちになれます。
作者はお茶のスペシャリストとしての認定も持っているかたなので、
「ティーパーティー」の描写も本格的で、たのしめます。
おいしい紅茶をいれて、ほっとしたくなりますよ。
2008/3/12 水曜日
川辺 :eショップ
クレヨンハウス出版の新刊
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もう3月も半ば。
まだ寒い日はあるけれど、日差しはもうすっかり春です。
暖かくなるのはうれしいけれど、
花粉症の人にとっては、ウキウキしてばかりもいられない季節。
花粉が多く飛ぶ休日は、
無理に外に出ないで、おうちで絵本はいかがですか。
さて、絵本の新刊をご紹介します。
3月のブッククラブの新刊絵本コースにも選ばれた
1冊目『くりんくりん ごーごー』と2冊目の『ぎったんこ ばったんこ』は、
あかちゃんへの読み聞かせにぴったりの
ことばのリズムもゆかいな、たのしい絵本です。
親子で笑って、こころもポカポカまちがいなしです。
2008/3/10 月曜日
日景 :編集部
絵本作家さん, クレヨンハウス出版の絵本
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きょう3月10日は、詩人・金子みすゞが26歳で亡くなった日、
故郷の山口県長門市では、みすゞ忌が行われていることでしょう。
「みんなちがって、みんないい」
というフレーズでおなじみの「私と小鳥と鈴と」はじめ、
みずみずしい感性の詩512篇を残しています。
この詩のフレーズを思いおこすときは、
いつも吉岡しげ美さんの歌のメロディになっています。
歌になると、詩のことばがさらに強く、からだのなかに浸透していく感じです。
『金子みすゞをうたう~みんなを好きになりたいな』は、
吉岡さんのエッセイと歌の楽譜をまとめた本です。
20年以上、みすゞの詩をうたってきた吉岡さんが、
人生の節々で、みすゞの詩に励まされてきた、その思いを綴っています。
はたよしこさんの生命力みなぎる絵が、とても素敵です。

春に生まれ(1903年4月11日)、春に旅立ったみすゞの詩は、
春に芽吹くいのちのようでもあり、
見るものにいとしさといのちのふしぎを感じさせてくれるようにも思います。