2007/10/5 金曜日
近藤 :東京店
クレヨンハウス出版の新刊
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『としょかんライオン』
ミシェル・ヌードセン/文 ケビン・ホークス/絵 福本友美子/訳
岩崎書店/刊 1,680円(税込)
この本が今、店頭で人気です。
図書館という舞台を通して、人と人の決まりごとと、その決まりごとは「何」の上になりたっているかということと、そうしてその「何」こそが一番大切なことだ、ということを滋味あふれる文章と絵で描いた秀作です。(詩人の長田弘さんも新聞で高く評価されていましたね)
おそらくその大切な「何か」が見えなくなっている現在だからこそ、図書館という場所を通してしっかりとそれをこの絵本は読者に見せてくれるので、わたしたちは、なにか大切なことを思い出したような、ほっとして安心した気持ちになるのかもしれません。ほんとおすすめです。
さて、ところでこの絵本の絵を描いたケビン・ホークスさんの洋書が新しくお店にとどきました!
それは 『THE WICKED BIG TODDLAH』という絵本です。

『THE WICKED BIG TODDLAH』
KEVIN HAWKES/作 KNOPE/刊 2,321円(税込)
内容は、表紙でご覧のとおりとてつもなく大きな赤ちゃんがうまれたというお話です!
何しろとにかく大きいから、赤ちゃんが普通にすることなすこと、すべてが大スケールの、大迫力の、大問題です。
おやすみの歌は、まるでオーケストラの演奏のようにしてやらないといけないし、おむつのとりかえはクレーン車の出動するわ、いたずらだってはんぱじゃないスケールです。
でも、大変なことばかりじゃありません。大きいだけにその寝顔はほんとうにむじゃきでかわいいんです。
この絵本では、KEBIN HAWKESさんは『としょかんライオン』と一変して茶目っ気たっぷりなタッチで絵を描いているのですが、ストリートとあいまって、おもわず笑ってしまうほどダイナミックに仕上がっていますよ!!
あかちゃんの、かわいさも、たいへんさも、いとおしさも、すべを大きくおおらかにKEVIN・HAWKESさんは描きたかったのかもしれませんね。
育児にてんてこまいで、すこし困っている方に贈るのもすてきです。
2007/10/3 水曜日
武田 :出版販売部
クレヨンハウス出版の絵本
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初めまして。クレヨンハウス出版部です。
突然ですが皆さま、神保町ブックフェスティバルというお祭りをご存知ですか?クレヨンハウスも参加いたします!
本の街、神保町で開かれる古本市。ここでは“ちょっと汚れておりますが”ということでたくさんの出版社が汚損本を自由な価格で販売します。
ずら~りと立ち並ぶ本のワゴン屋台のほかに、美味しい中華屋さんの焼きそば、つきたてのおもち・・・などなど、たくさんの屋台が並んで、おなかも心も満たせれますよ。はだか電球がぶらさがる夕方~夜の雰囲気もイチオシ!
クレヨンハウスのブースでは、人気の落語絵本シリーズ、あかちゃんから絵本、写真絵本、食育レシピ本、すべて・・・特別価格でご用意する予定です!
さらに「このブログをみた」を見た!といらした方には、きっと喜んでいただける素敵な特典をご用意します。ぜひ、皆様のお越しをお待ちしております!
第17回神保町ブックフェスティバル
2007年10月27日(土)10:30~18:00
10月28日(日)10:00~18:00
会場:すずらん通り・さくら通り 小学館・集英社前広場
※クレヨンハウスは、すずらん通りに出店します!

普段の神田すずらん通り
2007/10/3 水曜日
吉原 :編集部
絵本つれづれ
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きょうは[月刊クーヨン]11月号の発売日です!
今月の絵本特集は、「畑仕事と収穫の絵本」。
同じ号で「わたしサイズの菜園生活」という特集(田辺あゆみさんやyaeさんが登場です!)を担当したので、気分だけはすっかりファーマーなわたくしです。
絵本の紹介文を書いていると、いつの間にか本に夢中、気づけば原稿を書く手が止まってウン十分……ということも。
筆の遅いわたしには、すてきな絵本というのは少々キケンな存在なのです。
アブナイ、アブナイ。
今月号でも、やっぱりありました。
空白の時間をもたらしてくれたニクイ一冊。
それは、『にぐるまひいて』です。

『にぐるまひいて』
ドナルド・ホール/文 バーバラ・クーニー/絵 もきかずこ/訳
ほるぷ出版/刊 1,470円
これは、農村のファミリーが1年かけてつくった品々を、おとうさんが荷車に積み、
市場へ売りに行くお話。
自然と寄り添う暮らしのなか、家族で一からつくり上げたものを売り、最後には、荷車と牛さえも売ってしまいます。
「えっ、いいの?」と思うんですが、おとうさんは家に帰るとすぐまた荷車づくりに取りかかり、今度それを引くだろう若い牛も待っています。
わずかなおみやげもまた、翌年の手仕事につながっていく……。
はあぁ。なんとすてきな循環型生活。
このブログを書くために、また読みふけってしまいましたよ!
2007/9/29 土曜日
近藤 :東京店
絵本つれづれ, 絵本作家さん
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『ぷかぷか』
石井聖岳/作
ゴブリン書房/刊
1,470円(税込) |
この本で、読者をかならず脱力させてしまうという、ただならぬ「のんびり感」を描いた石井聖岳さん。
先日、近くで新作の打ち合わせがあるらしく、そのさいにお店にふらりと寄ってくださいました。
ちょっと立ち話をしていたのですが、それにしても絵本と同様ご本人にも、とてものんびりした雰囲気が漂っているのを感じて、おもわず
「石井さんって普段はどんな生活をおくっているんですか?」と聞いてみたところ、なんだか照れたように
「・・・起きてからぼんやりして・・・すこし・・・3時間ぐらい絵を描いて、・・・あとはパソコンしたり、ゲームをしたり、散歩をしたり、ぼんやりしたり・・・なんにもしていないんですよねぇ。だめですよねぇ」とおっしゃいました。
その答えに思わず笑ってしまったのですが、まさしくあの作品の雰囲気は、この力まない生活態度からうまれるのだ、と妙に納得してしまいました。
石井さん、新作も期待していますね!!
2007/9/28 金曜日
近藤 :東京店
絵本作家さん
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先日、ふらりとお店にやってきたのは小野明さん。
そのユーモアと知性と真剣さが同居した文章からにじみ出る絵本への熱烈な愛情。絵本の企画・編集・デザインなどで幅広く活躍され絵本ワークショップ「あとさき塾」などで多くの絵本作家を育てたり・・・その多岐に渡る活動などを尊敬してるので、小野さんがお店にいらっしゃるとうれしくなってしまいます。
小野さんの文章はとにかく絵本への愛情があふれているうえに刺激たっぷりなので本当に好きなのですが、とくに長新太さんに関する文章は大好きです。
もう去年の話ですが雑誌「飛ぶ教室2006年秋号」の中に書かれた小野明さんの文章
~「こんな」人の『そうげん』について~も本当にスリリングで面白かったです。
内容は、なんとあの長新太さんの『ちへいせんのみえるところ』と相似形の絵本『そうげん』が存在していた!!というお話です。(ページをめくるたびに添えられているのはあの『ちへいせん~』の逆で「でません」ということばらしいですよー。なんてすごい。)
『ちへいせん~』と同時発売される予定だったけど、結局出版に至らなかったのは、そのすばらしすぎるナンセンスさゆえでしょうか?
あまりにもこの原稿が好きだったので小野明さんがいらっしゃったときに、
「とてもたのしく読ませていただきました。いちどでもいいからみたかったです」
と伝えたところ、小野さんはいつもの穏かな笑顔で「すみません」とひとことおっしゃいました。不思議なトーンでひとこと「すみません」と。
いまあの「すみません」の意味をぼんやりと考えています。
あの 「すみません」の意味はなんだったんだのでしょうか?
(意味もなくとっさにでた挨拶的なことばとしての)「すみません」
(自分だけが長さんの未発表の絵本を楽しんで)「すみません」
いろいろ考えられるますが、おそらく長新太さんの絵本を愛してやまない小野明さんのことだから、あの「すみません」は「(このような絵本を出版できなくて編集者として)すみません・・・」だったような気がします。
「飛ぶ教室」の文章の最後を、
~『そうげん』だって、子どもに受け渡すことのできる、まぎれもない傑作であると、私はほんきで思う~
と、しめくるる小野さんのことですから。
ネット上で読める小野明さんの絵本紹介もありますよ!(世界各地の代表的な絵本を紹介しています)
http://www.bel-japon.com/library/book/vol09-prof.html
2007/9/27 木曜日
吉原 :編集部
絵本作家さん, クレヨンハウス出版の絵本
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久しぶりに谷川俊太郎さんの朗読を拝聴しました。
先週末、詩人のぱくきょんみさんが主催する絵本講座で、谷川さんが講師の回にお邪魔したのです。
会場は、四谷アート・ステュディウム。
ぱくさんのお連れ合いで、現代美術家の岡崎乾二郎さんが講師をされている学校です。
谷川さん&岡崎さんといえば……『ぽぱーぺぽぴぱっぷ』です。
クレヨンハウスの「あかちゃんから絵本」シリーズのなかでも、最近また人気上昇中。
アートディレクターの佐藤可士和さんご夫妻が、週刊誌でお子さんのお気に入り絵本として紹介くださったりと、そんな影響もあるのでしょうか。
ともあれ、「谷川先生」のもと、受講生の方がその『ぽぱーぺぽぴぱっぷ』を読んでくださいましたが、担当編集者のワタクシなどよりずっとお上手でした……。キャー。
谷川さんも、これを読むとつっかえるとおっしゃっていたので、まあいいか??
同じシリーズの『んぐまーま』を谷川俊太郎さんが読んでくださったのも、すばらしかったです。
あかちゃんの喃語のような、音としてのことば。
気持ちいいんですよ、これが。

『ぽぱーぺぽぴぱっぷ』
おかざきけんじろう/絵
谷川俊太郎/文
クレヨンハウス/刊
1,050円
2007/9/26 水曜日
近藤 :東京店
クレヨンハウス出版の新刊
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このタイトルに「あっ」と声を上げてしまうかたも多いのではないでしょうか?
そうです! あの絵本です!
「ベエーベエー」とブザーが鳴っては得体の知れない不思議なお客が降りてくる・・・、
ナンセンスでダイナミックでばかばかしくて格好よくて・・・
あの形容のしがたい素敵な長新太さんの絵本です。
しばらく品切れとなっていたのですが、このたびめでたく偕成社から復刊となりました。(もともとはほるぷ出版から出されていました)
この絵本、以前から店頭でもしばしばお問合せをうけていたんです。
喜ぶお客様は多いだろうナァとさっそく店頭に並べましたところ、うれしそうにレジに持ってきたのは30歳ぐらいの男性。もう顔つきからして長新太さんファンですよーというようなうれしそうな表情。
「うれしい復刊ですよね」 と声をかけたところ
「もう本当に探していたんですよ。すごい絵本ですよね。うれしいです」との答えが。
思わず「うわぁい」といいたくなるぐらいうれしくなりました。
こんなふうに本がお客様に渡る瞬間が書店員はうれしくてたまりません。
2年前、長新太さんが亡くなったとき、とてつもなく悲しくて淋しい思いをしましたが、それでも長さんが残してくれた作品をいつまでも丁寧に、出来るかぎり多くの人たちに渡して行くことが、書店の仕事だなぁとあらためて思っています。
*10月8日まで横浜そごう美術館で長新太展がおこなわれていますね!
http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/
2007/9/21 金曜日
近藤 :東京店
クレヨンハウス出版の新刊
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先日、ここでご紹介させていただいた「かえるくん」シリーズの作者マックス・ベルジュイスの、待望の本格的な評伝が翻訳されました!!
カラーのイラストや図説入りでとても読みやすいです。
なによりもうれしいのが、子どものこころそのものを取り出して描いてくれる、魔法のように思えるベルジュイスさんの全体像が見えてくるところです。
「かえるくん」を生み出したベルジュイスさんはこんな風に育てられて、あんな青年期を過ごし、こうしてキャリアを積み、そうして晩年をむかえた・・・
その生い立ち、生涯の全貌、考え方、生活などなどがヨーケ・リンデルスさんによって愛情込めて書かれています。
その創作活動の源泉はこんなところあったのかと、その秘密に触れる気持ちがします。
読み終えた後、ぼくは帯のことばが何とも素敵でだいすきになってしまいました。
「かえるくんはベルジュイス ベルジュイスはかえるくん」
秋の夜長にはこんな本格的な評伝もいいのではないでしょうか。
2007/9/18 火曜日
近藤 :東京店
英語絵本, クレヨンハウス出版の新刊, イベント
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先週に引き続きハロウィーンを楽しむ洋書絵本をご紹介いたします。
『ROTTEN RALPH’S TRICK OR TREAT!』は、かわいらしいストーリーがたのしい一冊です。
いたずらねこと女の子がお互いに変身してハロウィーンのパーティにでかけます。
ところが女の子に変身したいたずらねこはいつもようにいたずらばかりするものだから・・・
『あくたれラルフ』シリーズでおなじみの、ジャック・ガントスとニコール・ルーベルのコンビによる一冊ですよ!!
(本作もシリーズのうちの一冊です)

『ROTTEN RALPH’S TRICK OR TREAT!』
Jack Gantos/Nicole Rubel
1,092円(税込)
それから、『ED EMBERLEY’S HALLOWEEN DRAWING BOOK』もおすすめです!
日本語版だと「エンバリーおじさんの絵かき絵本」シリーズとしてご存知の方も多いのではないでしょうか?
シンプルな線や形をつかってだれもがお絵かきを楽しめることをユーモラスに教えてくれるエンバリーさんによるハロウィン版です!
魔女やガイコツやいたずら猫・・・を簡単にかけるコツをエンバリーおじさんに教わってくださいね!

『ED EMBERLEY’S HALLOWEEN DRAWING BOOK』
ED EMBERLEY/作
840円(税込)
2007/9/18 火曜日
近藤 :東京店
絵本つれづれ
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みなさん「かえるくん」シリーズはごぞんじでしょうか?
オランダを代表する絵本作家マックス・ベルジェイス描くかえるくんは、独特のおもしろさを持ったシリーズです。
その特徴は、なんというかぼくたちがふとした瞬間にかんじる、ことばにならないような感情をゆっくりと描き出しているところにあると思います。
たとえばシリーズの一冊『かえるくんはかなしい』は、
「その日のあさ かえるくんは かなしいきもちで 目が さめました・・・・・・」という出だしではじりまります。
かなしいきもちのかえるくんは、いまにもなきだしそうです。
(でもかえるくんにはそれがどうしてだか、自分ではわかりません)
そんなかえるくんをみて、ともだちは、いろんなことで楽しませようとがんばります。
でもかえるくんはかなしいままです。
とうとうともだちのねずみはバイオリンをかえるくんのためにひいてあげます。
とてもきれいな曲を・・・
するとかえるくんは、曲をきいたとたん泣き出してしまったのです!!
・・・そして、そのあとのいろんなともだちとの素敵なやりとりのすえ、結局大笑いに笑ったかえるくんのおはなしは、こんなセリフでおわります。
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「だいすきなかえるくん。またげんきになってくれてよかった。でも、さっきはどうしてあんなにかなしそうだったの?」
「さあ、どうしてだろ。ただね、そんなときもあるんだよ」
かえるくんはにっこりわらってこたました。
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こんなことってあるよなぁ・・・説明のつかない、根拠のない感情におおわれてしまうこと・・・と、ベルジェイスの作品を読むといつも思います。そして、子どもの頃の、そんな根拠のないうれしさやかなしみの気持ちのままで、 空や、雲や、道路やいろんなものを眺めていたことを思い出しそうになります。
きっと感情や気持ちに理由などいらなかった子ども時代。そんな子ども時代を、そっと静かに描くベルジェイスの作品は、もっとみんなに読まれたらいいナと思っています。

『かえるくんはかなしい』
マックス・ベルジェイス/作
清水奈緒子/訳
セーラー出版/刊
1,365円(税込)