2014/5/16 金曜日
絵本town
特集・あの作家さんのデビュー作!
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いわむらかずおさん
いわむら・かずお
ぷくぷくのえほん1『あふりかのぷくぷく』
ぷくぷくのえほん2『まーくんとぷくぷく』
ぷくぷくのえほん3『しっぱいしっぱいぷくぷく 』
「ぷくぷくのえほん」全3作/1970年/実業の日本社 → 1980~1982年/偕成社
●デビュー作の思い出
ダミーを持って売り込みに出かけ、採用された絵本です。
「うちで出しましょう」と編集長に言われ帰る銀座から有楽町駅への道々は、うれしさで体がふわふわ浮いているようでした。しかし、「一冊だけでは弱いので、あと2冊書いてください」と、さっそくプロとしての試練を与えられたのでした。
今なら決してやりませんが、それからわずか4ヶ月で全三冊の原画を仕上げました。
そのシリーズは、残念ながら数年で書店から姿を消し、絶版になりました。
いま思えば、絵本としての魅力はありましたが、練りがたらず、全体的にはまだ力不足だったと思います。
1970年といえば、絵も文もひとりでかく絵本作家はまだ少なく、新人は注目されました。
『ぷくぷく』は売れなくても、仕事の依頼がたくさん来るようになりました。
当時、画家への印税による支払いはまれで、私も「買い取り(著作権法を理解していないひどい言い方です)にしますか、印税にしますか」などと言われたものです。そんなとき、「童美連」(日本児童出版美術家連盟)という、こどもの本の絵を描く画家の著作権を守る団体があり、先輩たちが画家にも印税をという運動をやっているのを知り、さっそく入会しました。
原稿料払いで差し当たってすぐお金が入るのは魅力でしたが、自分の仕事と将来にかけるという気持ちで、私は各社に印税による支払いを求めました。
やがて画家への印税は当たり前のことになりました。印税の制度が、栃木県の田舎町に移り住み、創作活動をつづけることを可能にしたのです。
●作家を目指す方々への応援メッセージ
絵本作家として暮らしを立てていくのは大変ですが、ロングセラーの絵本を持つかどうかがその分かれ目です。
作者の心がこもらない安易に作られた絵本は、一時売れたとしても、こどもたちから支持されず、決してロングセラーになることはないでしょう。
自分の納得がいくまでしっかり時間をかけて、こどもたちが心から楽しむことが出来る上質な絵本を作ることが、やがて自分に返ってくるのです。
30年40年前に書いた絵本が、国内や海外で多くのこどもたちに読み継がれ、今も生きつづけているのは、絵本作家としての私の大きな喜びです。
●いわむらかずおさんのページ
いわむらかずお絵本の丘美術館 http://ehonnooka.com/
●いわむらかずおさんの最新刊
『14ひきのポケットえほん かぼちゃセット』
童心社/刊
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2014/5/16 金曜日
絵本town
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三浦太郎さん
みうら・たろう
『Je suis… ぼくは…』
2004年/La Joie De Lire(フランス) → 2005年/ブロンズ新社
●デビュー作の思い出
2度目のイタリア・ボローニャ絵本原画展に入選した作品がそのままデビュー作になりました。それまでのイラストレーターとして絵を描くのとは違い、自由に描くことが楽しく、うれしかった。その反面、自分の名前の載った本を作ることは中途半端な気持ちでは作れないとも思いました。
●作家を目指す方々への応援メッセージ
ぼくは絵本のことを勉強したことはありません。ですから、みなさんも自分なりの作り方を大切にして、迷ったときは自分が本当に描きたいことか、自分が楽しいと思えるかで判断してください。そうすればきっと納得のいく絵本が作れると思いますよ。
●三浦太郎さんのページ
ホームページ http://taromiura.com/
ツイッター @tarowitte
●三浦太郎さんの近刊
『あ・あ』
童心社/刊
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2014/5/16 金曜日
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降矢ななさん
ふりや・なな
『めっきらもっきらどおんどん』
長谷川摂子/作
1990年/福音館書店
●デビュー作の思い出
はじめての絵本作りを長谷川摂子さんとご一緒できたことは、私にとって大きな宝物だと思っています。
長谷川さんの子どもへのまなざしや絵本に対する真摯な姿勢を思い出すと、今も背筋がのびる思いです(私は、気をつけていないと背中が丸まりがち)。
苦労したのは、主人公の男の子を描くことです。表情や動作を大げさにするとマンガっぽくなってしまうし、プロポーションなど気をつけすぎると、絵が硬くなり、子どもの持つエネルギーが表現できない。子どもを描くことは、とても難しいです。
●作家を目指す方々への応援メッセージ
これ、難しいです。自分は応援してあげられるような立場ではないから。
新しい感覚の力強い作品が生まれてくると、私自身も「ややや……、すごいのが現れたな。くやしぃ~! こんな面白い絵本、作ってみたい。わたしも、がんばらないと」と力が湧いてきます。そういう作品を見せてくださいね。
お互い刺激を受け合いながら、絵本作りしていけたら嬉しいです。どうぞよろしく。
●降矢ななさんの最新刊
『かまきりとしましまあおむし』
澤口たまみ/文
農山漁村文化協会/刊
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2014/5/16 金曜日
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谷川俊太郎さん
たにかわ・しゅんたろう
『しりとり』
和田誠/絵
1965年/私家版 → 1997年/いそっぷ社
●デビュー作の思い出
和田さんに誘われて、しりとりの形でテキストを書きました。
素朴なつながりを考えるのが楽しかった。
和田さんが卵の黄身を手彩色したのが嬉しかった。
●作家を目指す方々への応援メッセージ
マスメディアに頼らず、自分なりの小商いの方法を考えるのもいいかもしれません。
●谷川俊太郎さんのページ
ホームページ http://www.tanikawashuntaro.com/
ツイッター https://twitter.com/shuntarot
●谷川俊太郎さんの最新刊
『しんでくれた』
塚本やすし/絵
佼成出版社/刊
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2014/5/16 金曜日
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小林豊さん
こばやし・ゆたか
『せかいいちうつくしいぼくの村』
1995年/ポプラ社
●デビュー作の思い出
旅で出会った、美しい村のことを描きました。
ボクの大好きな人々をその景色の中で描くのですから、苦労はありません。
でもその後の歴史の展開には、少々気が重くなりますね。
●作家を目指す方々への応援メッセージ
自分の視点を自覚することだと思います。つまり自分の立っている位置が問題です。
そこから見えるすべての景色をよく見て下さい。
●小林豊さんの近刊
『白い街あったかい雪』
鎌田實/文
ポプラ社/刊
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2014/5/16 金曜日
絵本town
特集・あの作家さんのデビュー作!
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とよたかずひこさん
とよた・かずひこ
『ぼくはやっぱりとりなんだ』
1983年/講談社
●デビュー作の思い出
今から見ると、タイトルからして、かなり観念的な作品。
処女作にその作家の魂が宿るといわれるが、作品の中にある時間の流れは、そうかもしれない。
これを商品として採用してくれた編集者に感謝。
●作家を目指す方々への応援メッセージ
音楽やスポーツの世界とは違って、絵や文の世界はじっくりと「時」を経てからでも充分間に合う。
早くから個性、個性とあせらぬ方がいい。
誰に向けて自分は書いているのかをはっきりさせれば、自ずと今まで生きてきた「時」は財産になっているはず。
子どもへの作品はテクニックだけでは通用しない。
そこに作家自身の世界が表出していないと、なかなか受け入れてもらえないものだ。
あせらず、今の仕込みの時期を満喫してほしい。
●とよたかずひこさんの最新刊
『とまとさんがね‥』
童心社/刊
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2014/5/16 金曜日
大井 :子どもの本売り場
イベント
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「作家と読者を結ぶ」ことを出発点にはじまった
連続講座「子どもの本の学校」。
22期から対談形式という試みもあり、
昨年5月からの23期の1年間では24人の講師をお迎えしました。
昨年6月の対談、今江祥智さん VS 田島征三さん
昨年7月の対談、伊藤秀男さん VS スズキコージさん
今期で24年目に入る「子どもの本の学校」第24期では
おひとりでじっくりの講演と、対談で作家の意外な側面を、
というふたつのかたちで開催。
絵本作家、児童文学者、画家、詩人、フォトジャーナリスト……
17人の豪華な講師陣をお迎えします!
1年間の講座すべてご参加いただけるお得な年間会員でのお申込みと、
1回ごとの当日券でもご参加いただけます。
第1回目は作家で、クレヨンハウスを主宰する、
落合恵子の講演です。
昨年、一昨年とそれぞれあべ弘士さん、和田誠さんとの対談で、
2012年4月の21期の講演から、今年は2年ぶりの
ひとりでの講演となりました。
昨年5月の対談、和田誠さん VS 落合恵子
講演タイトルは「『わたし』は『わたし』になっていく」。
いよいよ明日17日土曜日から、開校です!