石井聖岳さん

絵本つれづれ, 絵本作家さん No Comments
『ぷかぷか』
石井聖岳/作
ゴブリン書房/刊
1,470円(税込)

この本で、読者をかならず脱力させてしまうという、ただならぬ「のんびり感」を描いた石井聖岳さん。
先日、近くで新作の打ち合わせがあるらしく、そのさいにお店にふらりと寄ってくださいました。

ちょっと立ち話をしていたのですが、それにしても絵本と同様ご本人にも、とてものんびりした雰囲気が漂っているのを感じて、おもわず
「石井さんって普段はどんな生活をおくっているんですか?」と聞いてみたところ、なんだか照れたように
「・・・起きてからぼんやりして・・・すこし・・・3時間ぐらい絵を描いて、・・・あとはパソコンしたり、ゲームをしたり、散歩をしたり、ぼんやりしたり・・・なんにもしていないんですよねぇ。だめですよねぇ」とおっしゃいました。

その答えに思わず笑ってしまったのですが、まさしくあの作品の雰囲気は、この力まない生活態度からうまれるのだ、と妙に納得してしまいました。

石井さん、新作も期待していますね!!

そうげん

絵本作家さん No Comments

先日、ふらりとお店にやってきたのは小野明さん。
そのユーモアと知性と真剣さが同居した文章からにじみ出る絵本への熱烈な愛情。絵本の企画・編集・デザインなどで幅広く活躍され絵本ワークショップ「あとさき塾」などで多くの絵本作家を育てたり・・・その多岐に渡る活動などを尊敬してるので、小野さんがお店にいらっしゃるとうれしくなってしまいます。

小野さんの文章はとにかく絵本への愛情があふれているうえに刺激たっぷりなので本当に好きなのですが、とくに長新太さんに関する文章は大好きです。

もう去年の話ですが雑誌「飛ぶ教室2006年秋号」の中に書かれた小野明さんの文章
~「こんな」人の『そうげん』について~も本当にスリリングで面白かったです。

内容は、なんとあの長新太さんの『ちへいせんのみえるところ』と相似形の絵本『そうげん』が存在していた!!というお話です。(ページをめくるたびに添えられているのはあの『ちへいせん~』の逆で「でません」ということばらしいですよー。なんてすごい。)

『ちへいせん~』と同時発売される予定だったけど、結局出版に至らなかったのは、そのすばらしすぎるナンセンスさゆえでしょうか?

あまりにもこの原稿が好きだったので小野明さんがいらっしゃったときに、
「とてもたのしく読ませていただきました。いちどでもいいからみたかったです」

と伝えたところ、小野さんはいつもの穏かな笑顔で「すみません」とひとことおっしゃいました。不思議なトーンでひとこと「すみません」と。

いまあの「すみません」の意味をぼんやりと考えています。

あの 「すみません」の意味はなんだったんだのでしょうか?

(意味もなくとっさにでた挨拶的なことばとしての)「すみません」

(自分だけが長さんの未発表の絵本を楽しんで)「すみません」

いろいろ考えられるますが、おそらく長新太さんの絵本を愛してやまない小野明さんのことだから、あの「すみません」は「(このような絵本を出版できなくて編集者として)すみません・・・」だったような気がします。

「飛ぶ教室」の文章の最後を、
~『そうげん』だって、子どもに受け渡すことのできる、まぎれもない傑作であると、私はほんきで思う~

と、しめくるる小野さんのことですから。

ネット上で読める小野明さんの絵本紹介もありますよ!(世界各地の代表的な絵本を紹介しています)
http://www.bel-japon.com/library/book/vol09-prof.html

飛ぶ教室2006年秋号
「飛ぶ教室2006年秋号」
光村図書/刊
1,000円(税込)
ちへいせんのみえるところ
『ちへいせんのみえるところ』
長新太/作
ビリケン出版/刊
1,680円(税込)

谷川俊太郎さんの絵本講座で

絵本作家さん, クレヨンハウス出版の絵本 No Comments

久しぶりに谷川俊太郎さんの朗読を拝聴しました。
先週末、詩人のぱくきょんみさんが主催する絵本講座で、谷川さんが講師の回にお邪魔したのです。
会場は、四谷アート・ステュディウム。
ぱくさんのお連れ合いで、現代美術家の岡崎乾二郎さんが講師をされている学校です。

谷川さん&岡崎さんといえば……『ぽぱーぺぽぴぱっぷ』です。
クレヨンハウスの「あかちゃんから絵本」シリーズのなかでも、最近また人気上昇中。
アートディレクターの佐藤可士和さんご夫妻が、週刊誌でお子さんのお気に入り絵本として紹介くださったりと、そんな影響もあるのでしょうか。

ともあれ、「谷川先生」のもと、受講生の方がその『ぽぱーぺぽぴぱっぷ』を読んでくださいましたが、担当編集者のワタクシなどよりずっとお上手でした……。キャー。
谷川さんも、これを読むとつっかえるとおっしゃっていたので、まあいいか??

同じシリーズの『んぐまーま』を谷川俊太郎さんが読んでくださったのも、すばらしかったです。
あかちゃんの喃語のような、音としてのことば。
気持ちいいんですよ、これが。

ぽぱーぺぽぴぱっぷ
『ぽぱーぺぽぴぱっぷ』
 おかざきけんじろう/絵
 谷川俊太郎/文
 クレヨンハウス/刊 
 1,050円

ムニャムニャゆきのバス

クレヨンハウス出版の新刊 No Comments
ムニャムニャゆきのバス
長新太/作 偕成社/刊 1,470円(税込)

このタイトルに「あっ」と声を上げてしまうかたも多いのではないでしょうか?

そうです! あの絵本です! 
「ベエーベエー」とブザーが鳴っては得体の知れない不思議なお客が降りてくる・・・、

ナンセンスでダイナミックでばかばかしくて格好よくて・・・
あの形容のしがたい素敵な長新太さんの絵本です。

しばらく品切れとなっていたのですが、このたびめでたく偕成社から復刊となりました。(もともとはほるぷ出版から出されていました)

この絵本、以前から店頭でもしばしばお問合せをうけていたんです。
喜ぶお客様は多いだろうナァとさっそく店頭に並べましたところ、うれしそうにレジに持ってきたのは30歳ぐらいの男性。もう顔つきからして長新太さんファンですよーというようなうれしそうな表情。

「うれしい復刊ですよね」 と声をかけたところ
「もう本当に探していたんですよ。すごい絵本ですよね。うれしいです」との答えが。

思わず「うわぁい」といいたくなるぐらいうれしくなりました。

こんなふうに本がお客様に渡る瞬間が書店員はうれしくてたまりません。

2年前、長新太さんが亡くなったとき、とてつもなく悲しくて淋しい思いをしましたが、それでも長さんが残してくれた作品をいつまでも丁寧に、出来るかぎり多くの人たちに渡して行くことが、書店の仕事だなぁとあらためて思っています。

*10月8日まで横浜そごう美術館で長新太展がおこなわれていますね!
http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/

かえるでよかった

クレヨンハウス出版の新刊 No Comments

先日、ここでご紹介させていただいた「かえるくん」シリーズの作者マックス・ベルジュイスの、待望の本格的な評伝が翻訳されました!!

『かえるでよかった』
ヨーケ・リンデルス/作
野坂悦子/訳
セーラー出版/刊
5040円(税込)

カラーのイラストや図説入りでとても読みやすいです。
なによりもうれしいのが、子どものこころそのものを取り出して描いてくれる、魔法のように思えるベルジュイスさんの全体像が見えてくるところです。

「かえるくん」を生み出したベルジュイスさんはこんな風に育てられて、あんな青年期を過ごし、こうしてキャリアを積み、そうして晩年をむかえた・・・
その生い立ち、生涯の全貌、考え方、生活などなどがヨーケ・リンデルスさんによって愛情込めて書かれています。
その創作活動の源泉はこんなところあったのかと、その秘密に触れる気持ちがします。
読み終えた後、ぼくは帯のことばが何とも素敵でだいすきになってしまいました。

「かえるくんはベルジュイス ベルジュイスはかえるくん」

秋の夜長にはこんな本格的な評伝もいいのではないでしょうか。

ROTTEN RALAH’S TRICK OR TREAT!

英語絵本, クレヨンハウス出版の新刊, イベント No Comments

先週に引き続きハロウィーンを楽しむ洋書絵本をご紹介いたします。

『ROTTEN RALPH’S TRICK OR TREAT!』は、かわいらしいストーリーがたのしい一冊です。
いたずらねこと女の子がお互いに変身してハロウィーンのパーティにでかけます。
ところが女の子に変身したいたずらねこはいつもようにいたずらばかりするものだから・・・

『あくたれラルフ』シリーズでおなじみの、ジャック・ガントスとニコール・ルーベルのコンビによる一冊ですよ!!
(本作もシリーズのうちの一冊です)


『ROTTEN RALPH’S TRICK OR TREAT!』
Jack Gantos/Nicole Rubel
1,092円(税込)

それから、『ED EMBERLEY’S HALLOWEEN DRAWING BOOK』もおすすめです!
日本語版だと「エンバリーおじさんの絵かき絵本」シリーズとしてご存知の方も多いのではないでしょうか?
シンプルな線や形をつかってだれもがお絵かきを楽しめることをユーモラスに教えてくれるエンバリーさんによるハロウィン版です!
魔女やガイコツやいたずら猫・・・を簡単にかけるコツをエンバリーおじさんに教わってくださいね!


『ED EMBERLEY’S HALLOWEEN DRAWING BOOK』
ED EMBERLEY/作
840円(税込)

かえるくん!!

絵本つれづれ No Comments

みなさん「かえるくん」シリーズはごぞんじでしょうか?

オランダを代表する絵本作家マックス・ベルジェイス描くかえるくんは、独特のおもしろさを持ったシリーズです。
その特徴は、なんというかぼくたちがふとした瞬間にかんじる、ことばにならないような感情をゆっくりと描き出しているところにあると思います。

たとえばシリーズの一冊『かえるくんはかなしい』は、
「その日のあさ かえるくんは かなしいきもちで 目が さめました・・・・・・」という出だしではじりまります。

かなしいきもちのかえるくんは、いまにもなきだしそうです。
(でもかえるくんにはそれがどうしてだか、自分ではわかりません)
そんなかえるくんをみて、ともだちは、いろんなことで楽しませようとがんばります。
でもかえるくんはかなしいままです。
とうとうともだちのねずみはバイオリンをかえるくんのためにひいてあげます。
とてもきれいな曲を・・・
するとかえるくんは、曲をきいたとたん泣き出してしまったのです!!

・・・そして、そのあとのいろんなともだちとの素敵なやりとりのすえ、結局大笑いに笑ったかえるくんのおはなしは、こんなセリフでおわります。

————————–

「だいすきなかえるくん。またげんきになってくれてよかった。でも、さっきはどうしてあんなにかなしそうだったの?」

「さあ、どうしてだろ。ただね、そんなときもあるんだよ」

かえるくんはにっこりわらってこたました。

————————–

こんなことってあるよなぁ・・・説明のつかない、根拠のない感情におおわれてしまうこと・・・と、ベルジェイスの作品を読むといつも思います。そして、子どもの頃の、そんな根拠のないうれしさやかなしみの気持ちのままで、 空や、雲や、道路やいろんなものを眺めていたことを思い出しそうになります。 

きっと感情や気持ちに理由などいらなかった子ども時代。そんな子ども時代を、そっと静かに描くベルジェイスの作品は、もっとみんなに読まれたらいいナと思っています。


『かえるくんはかなしい』
マックス・ベルジェイス/作
清水奈緒子/訳
セーラー出版/刊
1,365円(税込)

目黒のさんま

絵本つれづれ No Comments

 

「いや〜ッ、さんまは目黒にかぎるね!!」

という上機嫌なお殿様の声が、この季節の道すがら、いろんな家の食卓からきこえてきます。

・・ん、きこえない? いやいや、そんなことないですよ。

証拠に、これは2007年「目黒さんま祭り」の模様。

200709091418000.jpg

「火事?」とみまがうほどの白煙のなか、炭火で焼いたさんまめざして数百人の長蛇の列。こんなにも「目黒のさんま」は、ニッポン人の心をくすぐっている。。ぜったいみな、「さんまは目黒」のセリフを言ってるはずです!

でも私は結局さんまは食べられずじまい。
お蕎麦やさんで相席した方に”クジ券”頂いて行ったのですが、暑い中の長蛇の列に断念。「宮古産の新鮮さんま〜」「徳島のすだち〜」に後ろ髪でした。

いいさッ。クレヨンハウスの「落語絵本 めぐろのさんま」で復習するからいいさッ。

川端誠さん作/クレヨンハウス刊行の、大人気落語絵本シリーズのひとつです。
ちなみに、2冊で小粋な落語絵本オリジナルてぬぐいが付いてきます。

話しによると、アレンジする方もいらして、ブックカバーにしたり2枚つないでお子さんの寝間着にしたり、ご自由に使っていただいてるそうです。生地も柄も、よいですよ。

Happy Halloween

英語絵本 No Comments

街を歩いているとあちこちのお店がハロウィーンのディスプレイがはじまっていることに気がつきます。
クレヨンハウスの子どもの本売場にも和書・洋書それぞれカボチャの絵本、魔女の絵本、ハロウィーンの絵本が集まってきましたよ! 

そのなかで今回は洋書絵本を紹介です。

Happy Halloween、Stinky Face」はハロウィーンの楽しさがたっぷりつまっていておすすめです!

 ぼく自身、ハロウィーンは子ども時代に慣れ親しんできた行事ではなかったので、これまで身近に感じることはすくなかったのですが、洋書をよむことによって、にわかにハロウィーン通になったような顔つきになったりしています。。

でも原書にふれると、本当にいままで馴染みのなかったことでも親しみがわいてくるからふしぎに思っています。

 これも洋書のよさのひとつですね!!

どいかやさん原画展スタートです!!

イベント No Comments

みなさんこんにちは。ようやく涼しくなってきましたね。

子どもの本売場では今日から『チリとチリリ はらっぱのおはなし』どいかやさん原画展がはじまりました!!

チリとチリリ はらっぱのおはなし 『チリとチリリ はらっぱのおはなし』
どいかや/作
アリス館/刊
1,260円(税込)

人気シリーズ「チリとチリリ」の最新刊。チリとチリリのふたりはこんどははらっぱのなかを走っていきます。

ちいさい頃、昆虫ずきのぼくの夢のひとつに、「はらっぱのなかを昆虫サイズであるきまわりたい!」というのがありました。

 (ほかの夢としては、「かぶとむしだけしか見えないめがねをかけたい!」「世界中のかぶとむしが集まる木を発見したい!」など・・・)

そんなわくわくした世界が、どいかやさんならではの繊細でやさしい色で描かれているんです。それにほんとうに食べてみたい!!と思うほどすてきなたべものもたくさん登場するんだから、子どもたちがとても大好きな世界ですよ。ぜひ原画でその色合いを楽しんでくださいね。期間中はサイン本も販売しています!

期間は本日9月10日(日)から9月24日(月)までです。

みなさんのご来店をぜひお待ちしています!

« Previous Entries